ものづくりプレス
2024-09-17
再生ゴムとは?リサイクルで資源循環に貢献
再生ゴムは、一度加硫されたゴムを再加工して、再び可塑性や粘着性を持たせたゴム製品です。このプロセスでは、化学的および物理的な処理が施され、元のゴムと同様の特性が復元されます。そのため、再生ゴムは新品の原料ゴムと同様に使用できるだけでなく、加工性の向上や耐老化性、耐摩耗性といった優れた特性を持つため、さまざまな産業分野で高く評価されています。再生ゴムは、環境に配慮したリサイクル素材としても注目を集めており、資源の有効活用に貢献しています。
再生ゴムのメリット
再生ゴムには、以下のような多くの利点があります。
1. 可塑性が高い 再生ゴムは、配合剤が均一に分散されているため、混練作業時に必要なエネルギーが少なく済みます。これにより、製造プロセス全体の効率が向上し、コスト削減にもつながります。
2. 流動性の向上 ゴムの流動性が高まるため、押出や成形といった加工工程がスムーズに行われます。これにより、複雑な形状の製品でも精度の高い加工が可能です。
3. 加工時の安定性 再生ゴムは、膨張や収縮が少ないため、加工がしやすく、製品の精度が向上します。また、可塑性が安定しているため、混練時の影響を受けにくく、製品の均一性が保たれます。
4. 耐熱性 再生ゴムは、熱に対する感受性が低いため、加工中や加硫時に型崩れが起こりにくく、スコーチ(加硫前に急激に硬化する現象)が発生しにくい特性を持っています。これにより、安定した品質の製品が製造可能です。
5. 過加硫によるリスクの低減 加硫速度の変動が少なく、安定した加硫が可能であるため、過加硫による製品の軟化現象が起こりにくい点も再生ゴムの強みです。
6. コスト削減効果 タイヤの再生ゴムは、大型タイヤを原料としているため、カーボンや酸化亜鉛などの資源を節約することができます。再生ゴムの使用により、原材料コストの削減も実現可能です。
7. 耐老化性と耐油性 再生ゴムは、耐老化性や耐油性にも優れています。さらに、硫黄のブルーム(ゴム表面に浮き出る白い物質)が少なく、見た目にも優れた製品を作り出すことができます。
再生ゴムの歴史
1. 「安かろう、悪かろう」と評された時代 昭和初期に日本で再生ゴムの工業化が進展し、第二次世界大戦によって天然ゴムの供給が難しくなったことで再生ゴムの需要は急増しました。しかし、当時の再生ゴムは低品質のくずゴムが使われていたため、粗悪品が多く市場に出回り、「安かろう、悪かろう」という評価が定着しました。さらに、昭和30年代に入ると国内で合成ゴム製品の製造が進む中、再生ゴムの生産も増加しましたが、合成ゴムの再生は天然ゴムほど効果的ではありませんでした。
2. 現在の再生ゴムの品質向上 技術の進歩により、現代の再生ゴムは高品質となり、過去の「安かろう、悪かろう」という評価はもはや当てはまりません。現在では、再生ゴムは優れた材料として見直され、天然ゴムが価格低下している状況でも、再生ゴムはその特性から多くの分野で使用されています。合成ゴムの再生技術も向上し、SBRやEPDM、CR、NBRなど、さまざまな種類の高品質な再生ゴムが製造されています。
リサイクルとしての再生ゴムの位置づけ
現代では、産業廃棄物の処理問題が注目され、リサイクルの重要性がますます高まっています。家電やペットボトルのリサイクルが広く認識されていますが、再生ゴムはリサイクルの分野における「先駆者」として長年存在してきました。合成ゴムは石油由来であり、廃棄すれば環境に悪影響を及ぼします。一方で、天然ゴムは土に還る性質を持つものの、資源の無駄遣いを防ぐために再利用することが望ましいです。これからの時代、再生ゴムの重要性はさらに増し、環境保護や資源の持続可能な利用の観点から、その役割はますます大きくなるでしょう。
結論
現代の再生ゴムは、可塑性や耐久性に優れ、さまざまな用途に対応する素材として評価されています。技術の進歩により、品質が大幅に向上し、再生ゴムは環境に配慮したリサイクル素材としても位置づけられています。今後もリサイクル技術の発展とともに、再生ゴムの利用は広がり続け、環境保護と経済的利益の両立を追求する時代が到来するでしょう。再生ゴムの特性を理解し、積極的に活用することが、持続可能な社会を実現するための鍵となります。
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