ものづくりプレス
2024-09-15
ゴムは酸性・アルカリ性で劣化しやすい?耐性のあるゴムをご紹介!
輪ゴムや長靴、車のタイヤなど、私たちの日常生活に欠かせないゴム製品は、優れた耐久性と利便性を持っています。しかし、長期間使用しないとすぐにゴムが切れたり、温かい場所に置いておくとベタついたりする経験をしたことがある人も多いでしょう。ゴムは化学製品であり、使用環境や方法によってその性質が変化し、劣化することがあります。ゴムの劣化は見た目を損なうだけでなく、破損のリスクを高め、使用中に危険を伴う可能性もあります。
この記事では、酸性・アルカリ性の環境がゴムに与える影響と、その対策方法について詳しく解説します。
酸素によるゴム劣化
酸素は私たちにとって不可欠なものですが、ゴムにとっては大敵となることがあります。ゴムは酸素と接触すると、化学的な酸化反応が進み、分子構造が変化してしまいます。この酸化により、ゴムは硬化しやすくなり、亀裂が発生することがあります。特に、屋外で長期間使用されるゴム製品は、酸素と継続的に接触するため、この影響を受けやすいです。
酸化劣化を防ぐためには、ゴム製品を密封できる容器や袋に入れて保管し、空気との接触をできるだけ減らすことが有効です。また、表面にワックスや保護剤を塗布しておくことで、ゴムと酸素の反応を抑え、劣化を遅らせることができます。
アルカリ性環境での劣化
アルカリ性の環境は、ゴムに対して特にダメージを与えやすい状況です。強力なアルカリ性洗剤や化学薬品は、ゴムの分子を加水分解し、脆くする原因となります。この結果、ゴムは柔軟性を失い、簡単に破れるようになります。例えば、家庭用の強力なアルカリ性洗剤を使用する場合、ゴム手袋が数回の使用で劣化し、裂けることがあります。
アルカリ環境下でゴム製品を使用する際は、アルカリに耐性のあるゴム材を選ぶことが重要です。また、長時間の接触を避け、使用後はしっかりと洗浄してアルカリ成分を取り除くことが劣化防止のポイントです。
酸性・アルカリ性に耐性のあるゴム
酸性やアルカリ性に強いゴムにはいくつかの種類があり、それぞれの特徴に応じて適切なゴム製品を選ぶことが劣化を防ぐために重要です。以下に、特に耐酸性・耐アルカリ性に優れたゴムの種類を紹介します。
1. ブチルゴム
ブチルゴムは、塩酸などの酸性環境に対して非常に高い耐薬品性を持つゴムです。また、イソブチレンの分子構造によりガス透過性が極めて低いため、密閉性が求められる用途にも適しています。さらに、反発弾性が少ないため、防振材や防音材としても広く利用されています。
2. エチレンプロピレンゴム(EPDM)
エチレンプロピレンゴムは、酸やアルカリ、極性溶剤などに対する耐性が非常に高いゴムです。特に、硫酸やアルコールなどの化学物質にも強い耐久性を発揮します。さらに、油展性や充填剤の添加性が高いため、コストを抑えつつ、製品の性能を維持できる点が特徴です。
3. シリコーンゴム
シリコーンゴムは、非常に優れた耐熱性を持ち、加えて耐水性、耐薬品性、耐候性、耐寒性、耐オゾン性にも優れています。酸性・アルカリ性の環境に対しても高い耐性を持ち、幅広い用途で活躍するゴムです。特に、過酷な環境での使用が求められる場合には最適な選択肢です。
4. フッ素ゴム(FKM)
フッ素ゴムは、特に酸性環境に強い耐性を持ちます。C-F結合を多く含むため、耐熱性や耐薬品性、耐油性、耐水性に優れ、非常に過酷な条件下でも長期間使用可能です。アルカリ性に対しても一定の耐性があり、幅広い環境で使用できるゴムです。
5. クロロプレンゴム(CR)
クロロプレンゴムは、酸やアルカリに対して耐性を持つゴムであり、一般的な化学薬品に対して強い耐久性を示します。ただし、強酸や強アルカリに対しては劣化する可能性があるため、適切な環境で使用することが重要です。
ゴム劣化を防ぐための対策
ゴムの劣化は、酸素やアルカリ性環境など、さまざまな要因によって引き起こされますが、適切な対策を講じることでそのリスクを大幅に軽減できます。まず、ゴムの使用環境に応じて耐性のあるゴム材質を選ぶことが重要です。また、保管方法にも注意を払い、密封して保管するなどの工夫が劣化防止に効果的です。さらに、定期的なメンテナンスや表面処理を施すことで、ゴム製品の長寿命化を図ることができます。
結論
ゴム製品の劣化は避けられない現象ですが、酸性・アルカリ性に対する耐性を理解し、適切なゴム材質を選ぶことで、長期間にわたって性能を維持することが可能です。この記事で紹介した耐酸性・耐アルカリ性に優れたゴムの特徴を参考に、使用環境に適した製品を選ぶことで、ゴムの劣化を防ぎ、長寿命化を実現してください。
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