ものづくりプレス

2024-10-04

バイトンとフッ素ゴムの違い:耐薬品性と耐熱性を比較

バイトンとフッ素ゴムの違い

フッ素ゴム、FKM、FPM、Viton®といった名称は異なりますが、実はすべて同じ種類の合成ゴムに属しています。

ここでは、最も一般的な名称を取り上げましたが、この素材には他にもいくつかの名称が存在します。

では、なぜ一つの素材にこれほど多くの名前があるのでしょうか?

以下で詳しく解説していきます。

ゴム

フッ素ゴムの名称の違いを徹底解説

それぞれの名称について、以下で解説します。

フッ素ゴム(フルオロエラストマー)は、フッ素を含むゴムの一種です。


FKMは、米国規格(ASTM)で使用されるフルオロエラストマーまたはフッ素ゴムの略称です。

F「フルオロ(Fluoro)」を指し、Kはドイツ語で炭素を意味する「Kohlenstoff」の頭文字、MはASTMの飽和構造ゴムの分類記号です。


FPMは、フッ素ゴムの国際規格(ISO 9000およびISO/TS 16949)で使われる名称です。


バイトン(Viton®)は、DuPont Performance Elastomers LLCが1958年に商標登録した名前で、もともとは航空宇宙産業向けに開発されました。

その後、バイトンは自動車、化学、流体動力など、さまざまな産業で広く使われるようになりました。


これらのフッ素含有ポリマーは、化学組成やフッ素含有量、架橋メカニズムに基づいて5つのクラスに分類されます。

フッ素含有量が高いほど、耐薬品性や流体への抵抗が強くなります。


モノマー

フッ素ゴムも他のエラストマーと同じく、いくつかのモノマーの組み合わせで作られています。

代表的な6つのモノマーは以下の通りです。

エチレン(E)

ヘキサフルオロプロピレン(HFP)

パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)

プロピレン(P)

テトラフルオロエチレン(TFE)

フッ化ビニリデン(VDF)

フッ素ゴムの魅力

フッ素ゴムは、高温環境下で多くの流体に対して非常に優れた耐性を発揮します。

耐用年数も長く、473°F(225°C)を超える高温や化学物質、熱、油にも耐えることができるため、Oリングやシールの製造に最も広く使用される素材の1つです。

また、このゴムはモノマーの組成を調整することで、以下のような特性を向上させることが可能です。


・高温・低温に対する耐熱性の向上

・優れた耐油性

・耐グリース性

・酸化、酸、燃料、化学薬品に対する高い耐性

・過酷な環境下でも耐える優れた耐久性

・圧縮永久歪みの低減

・ガス吸収率の低さ

・その他の特性向上


しかし、メタノールや高温の熱水(212°F/100°C以上)、蒸気、その他の極性の高い流体に対しては、一般的に耐性が低いことに注意が必要です。

また、低温に対する耐性も限られており、-22°F(-30°C)が限界である点がフッ素ゴムの大きな欠点の1つです。



フッ素ゴムやバイトン®といった名称は異なっても、同じ素材がさまざまな産業で活用されていることが分かります。

それぞれの名称は規格や商標によって異なり、使用用途や特性に応じて最適な選択が必要です。

特に、耐熱性や耐薬品性が求められる過酷な環境下ではその性能が際立ちますが、低温や特定の化学物質に対する限界も理解しておくことが大切です。

適切な材料を選ぶことで、長寿命かつ信頼性の高い製品を実現できます。


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