成形・加工方法
2021-10-22
送り焼き成形とは
ゴム製品の形状や大きさによって、さまざまな成形方法が用いられています。
Oリングや長尺物の成形方法のひとつが、送り焼き成形です。
送り焼き成形を用いれば、押出成形などほかの成形方法では作れない形状や大きさのゴム製品の製作も可能になります。
送り焼き成形の特徴やメリットデメリット、送り焼き成形と似ている加硫や加硫接着との違いについて解説します。
送り焼き成形を含め、ゴム製品製造を検討している人はぜひ参考にしてください。
送り焼き成形とは
送り焼き成形とは、送り焼き(送り接ぎ)と呼ばれる方法を用いた成形方法です。一般的な金型成形で使用する金型は使わず、送り焼き専用の金型を使用します。
送り焼き専用の金型に仕込んだゴム原料を、プレス成型による加硫溶着と接着を繰り返してつなぎ合わせていきます。最終的に両端同士をつなぎ合わせ、リング状に加工します。送り焼き成形によってできたゴム加工品は、「つなぎOリング」や「継ぎOリング」とも呼ばれています。
送り焼き成形のメリットとデメリット
送り焼き成形は通常金型では製作できない大きさや形状のゴム製品が製作できる成形方法です。多くのメリットがある一方、デメリットもあります。送り焼き成形のメリットとデメリットを解説します。
送り焼き成形のメリットは以下の通りです。
- 通常金型で作れない長さ、大きさのものが作れる
- リングの場合は接着面が分かりにくい
- 硬化させる接着剤を用いないため、接着面も弾性があり強い
- 押出し成形と比べ物性が高い
- 部分的な修正ができる
- 押出し成形よりも少量の本数で製作できる
- メーカー保有の金型を使えばコストがおさえられる
送り焼き成形は、通常の金型では作れない長さや大きさのゴム製品が作れます。金型に仕込んだ材料をつなぎ合わせていくため、15mほどのOリングやベルトなどの長尺物の製作も可能です。
送り焼き成形によって、ゴム材料の端と端をプレス成型によって加硫、接着を繰り返します。そのため、リングのゴム製品を製作する場合送り出し成形よりも接着面が分かりにくいです。プレス成形をするため、ゴム製品の物性が高くなるメリットもあります。
送り焼き成形は、部分的修正が可能です。高価なゴム材料を使用して不良が発生した場合も、修正をすることで影響を最小限におさえられる可能性があります。送り焼き成形に使用する専用の金型も、メーカーが保有しているものを使えば金型の製作が不要です。金型の製作日数やコストをおさえられます。
送り焼きには、以下のデメリットがあります。
- 技術が必要
- 製品コストがかかる
- 一つの製品につき複数回、加硫成形を行う必要がある
送り焼き成形は、押出成形などのほかの成形方法よりも高い技術力が必要です。専用の金型を使用し、手作業によってプレス成形をしていきます。手作業が主になるため、プレス回数、エア抜きの回数やタイミングなどもシビアです。長年の経験や勘を培った技術力の高い職人ではなければ、送り焼き成形はできません。そのため、製品コストや納期がほかの成形方法よりもかかる場合があります。
「加硫接着」や「接着」との違い
Oリングや長尺物を製作する方法は、送り焼き成形のほか加硫接着や接着があります。加硫接着と接着、送り焼き成形の違いについて解説します。
加硫接着との違い
加硫接着とは、押出成形によって長さをそろえたゴム紐の端と端を、ゴム接着剤を塗布し圧力と熱で接着(溶着)する方法です。送り焼き成形と比較すると以下の違いがあります。
- コストをおさえるには制約が多い(たとえば大量生産が必用など)
- やや強度が劣る
- やや強度が劣る
大量生産する場合なら、送り焼き成形よりも製造コストをおさえられます。一方、数本のみといった少数生産の場合は送り焼き成形のほうが、コストが低くなる場合があります。
接着面に熱を加えているため多少の強度はあるものの、送り焼き成形よりも強度は劣ります。また、押出成形によって作られるため、寸法精度は送り焼き成形よりも低いです。
接着との違い
接着は、ゴム紐の端と端を接着剤でつなぎ合わせる方法です。
- コストが安い
- 納期が短い
- 強度は低い
- 寸法精度は劣る
接着は送り焼き成形、加硫接着よりもコストが安く、納期が短いゴム製品の製作方法です。一方、ゴム紐の端を接着剤でつないで乾燥させただけなので、送り焼き成形や加硫接着よりも強度は落ちます。負荷がかかるとすぐにはがれてしまうため、Oリングとしても使用用途には向いていません。
加硫接着と同じ押出成形によるゴム紐を使うため、寸法精度は同じく劣ります。
送り焼き成形は技術力の高い職人のいるメーカーに依頼しよう
ゴム製品の送り焼き成形の特徴やメリットデメリット、加硫接着や接着と比較した違いについて解説しました。送り焼き成形を用いれば、金型成形では作れない長さのOリングや長尺物も作れます。強度が高い、継ぎ目が分かりにくいなど製品の物性も高いのもメリットです。
一方、送り焼き成形を行うには高い技術力が必要です。送り焼き成形に対応していないメーカーもあります。強度や寸法精度を重視したい大きめのOリングや長尺物を製作したいなら、送り焼き成形の技術力を持つ職人のいるメーカーに依頼するのが重要です。
製品に関するご質問、製品開発に関することはなんでもご相談ください。
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