ものづくりプレス

2024-10-04

ゴム成形技術の進化と最新リサイクル方法の紹介

ゴム成形技術は、近年大きな進化を遂げています。

この記事では、最新のゴム成形技術の進展とリサイクル方法の革新について詳しく解説し、これからのゴム産業のトレンドに迫ります。

輪ゴム

一般的なゴム成型方法

圧縮成形(Compression Molding)

これは最も古いゴム成形技術の一つで、金型内にゴム材料を投入し、高温と高圧をかけて成形します。

低コストで大規模な生産が可能です。


射出成形(Injection Molding)

高精度かつ高速生産が可能な成形技術です。 ゴム材料を溶融状態にして金型に射出し、成形します。

複雑な形状や高精度が求められる製品に適しています。


押出成形(Extrusion Molding)

ゴムを連続的に成形する技術で、シール材やガスケット、ホースなどの長尺物の製造に適しています。

最新のゴム成型方法

3Dプリント技術の応用

最近では、3Dプリント技術を利用したゴム成形が注目されています。

複雑な形状やカスタムメイドの製品を迅速かつ低コストで製造することが可能です。


高性能エラストマーの開発

新しいエラストマーは、従来のゴム材料に比べて高い耐久性、耐熱性、化学抵抗性を持っています。

これにより、より過酷な環境での使用が可能となり、自動車や航空宇宙などの産業での応用が期待されています。


デジタルツイン技術の利用

製造プロセスの仮想モデルを作成し、リアルタイムで監視・解析する技術です。

品質向上や生産効率の最適化に役立っています。

ゴムの最新リサイクル方法

ゴム廃棄物の処理において、革新的なリサイクル技術が登場しています。


化学的脱硫

Tang、Li、Yu、Li(2022)が論じている化学的脱硫は、架橋ゴムポリマーを分解し、貴重な素材を回収できる技術の一つです。

また、極低温粉砕技術では、ゴム廃棄物を非常に低い温度で凍結させ、その後脆くなったゴムをより小さな粒子に粉砕します。

さらに、熱分解やガス化プロセスでは、高温を利用してゴムを分解し、オイル、ガス、カーボンブラックなどの有用な副産物を生成します。

これらの先進技術は、ゴムリサイクルの新たな可能性を開き、業界に変革をもたらす可能性を秘めています。


高温処理による資源回収

タイヤのリサイクルで注目されているのは、タイヤなどのゴムを高温で処理して、オイル、カーボンブラック、スチールに分解する方法です。

このプロセスでは、酸素を排除した状態で高温で加熱することで、天然ゴムやSBR、BRゴムがオイルやカーボンブラックに変わります。

タイヤの補強材であるスチールコードは鉄として残ります。

このプロセスで得られるオイルは燃料として利用でき、カーボンブラックの一部は再生カーボンブラックとして再使用可能です。

再生カーボンブラックのグレードは、N660に近い補強性を持ちます。

日本にはこの再生カーボンブラックを製造する工場はありませんが、ヨーロッパ、北米、アジアには既に存在しています。

タイヤをリサイクルして再生カーボンブラックとして再利用することで、ゴム業界におけるサステナブルな材料としての可能性が広がります。


これらの革新的なゴム成形技術とリサイクル方法は、環境への負荷を軽減し、持続可能な未来へ向けた重要なステップです。

特に、高温処理による資源回収や最新のリサイクル技術は、環境対策としての大きな可能性を秘めています。

これからも技術の進化に注目し、より環境に優しいゴム産業の実現に向けて取り組んでいくことが求められます。



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