ものづくりプレス
2024-12-30
加硫促進剤とは?
ゴムの「加硫」とは、ゴム分子の特性を大幅に向上させるための重要な工程で、分子構造において「架橋」を作り、分子同士を結びつけることを指します。ゴムの持つ独特な伸縮性は、加硫によってゴム内部の分子が網目構造を形成し、元の形状に戻る力が得られることで実現されています。
加硫の工程を経る前のゴム分子は鎖状の構造で、外部から力が加わるとそのまま変形してしまいます。しかし、加硫によって分子同士が架橋結合し、これが複数の層を成す網目構造となります。この構造はゴムの弾性や強度を高めるだけでなく、耐熱性や耐候性、耐摩耗性といった物理的特性も強化します。加硫は、硫黄を使う方法と硫黄以外の物質を用いる方法に分けられ、どちらの方法でも架橋結合が生成されます。
硫黄を用いた加硫では、加硫促進剤と熱を加えることで反応が進み、網目構造が効率的に形成されます。一方、硫黄以外の方法には、金属酸化物、パーオキサイド、樹脂などの材料を用いた加硫があります。これらの異なる材料を使用することで、加硫のスピードや最終的なゴムの性質を調整できます。加硫が行われないと、ゴム製品は弾力や耐久性に欠け、実用性が低くなるため、ゴムの加硫は製品加工において必須の工程です。
加硫促進剤とは
加硫の過程で重要な役割を果たす「加硫促進剤」は、加硫反応の速度を劇的に向上させ、ゴム製品の大量生産を可能にするための薬剤です。加硫促進剤がない場合、未加硫ゴムと硫黄が化学反応を起こして網目構造を形成するまでに数時間から数十時間を要するため、効率的な生産が難しくなります。しかし、加硫促進剤や促進助剤を加えると、加硫反応の進行が大幅に早まり、製造工程を数分から数十分程度にまで短縮でき、通常の加硫時間を10分の1以下に短縮できます。加硫促進剤の添加は、ゴムの物理的な特性を高めるためにも不可欠です。
また、加硫促進剤にはさまざまな種類があり、それぞれに特定の性能や使用用途が異なるため、製品の使用目的や必要な性能に応じて使い分けられます。主な加硫促進剤の種類には以下のものがあります。
・チアゾール系: 代表的な加硫促進剤で、多用途に利用されています。
・スルフェンアミド系: スコーチ時間(加硫開始前の作業時間)と加硫速度のバランスが良好で、タイヤや工業用ゴム製品で多く使われています。
・チウラム系: EPDMやNBR(ニトリルゴム)の加硫促進剤として、あるいは天然ゴム(NR)やスチレンブタジエンゴム(SBR)の二次促進剤としても活用されます。
・ジチオカルバミン酸塩系: 「超促進剤」として知られ、非常に高い加硫促進効果を持っています。
・グアニジン系: 他の加硫促進剤と併用され、ゴムに必要な硬さや強度を付加するために使用されます。
これらの加硫促進剤は、多様な性能を持つゴム製品の製造を可能にし、ゴムの耐久性、硬度、伸縮性などの性能を向上させるために組み合わせて使われることが一般的です。製造工程での適切な配合が製品の性能を大きく左右するため、使用する加硫促進剤の種類や分量は厳密に管理され、現場では精密な調整が求められます。
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