ものづくりプレス

2024-12-03

オゾンクラックとは?ゴムの劣化原因と屋外使用時の注意点

ゴム製品は、私たちの生活や産業において欠かせない素材の一つですが、その特性は使用環境によって大きく影響を受けます。特に「オゾンクラック」と呼ばれる劣化現象は、ゴム製品の性能や耐久性を損ねる要因として注目されています。オゾンクラックとは、オゾンとの化学反応によってゴムの表面に発生する亀裂のことを指します。本記事では、その原因や対策について詳しく解説します。


オゾンクラックとは?

オゾンクラックとは

オゾンクラックは、ゴムが引っ張り応力を受けている際に、引っ張り方向と直角に発生する表面の細かな亀裂です。この現象は、特に耐オゾン性の低いジエン系ゴム(天然ゴムやSBRなどの二重結合を持つゴム)で顕著に現れます。
オゾンクラックは、ゴムがオゾンを含む環境にさらされることで発生しますが、ゴムの種類や配合物、保管条件によって亀裂の出方や進行速度が異なります。例えば、天然ゴムでは微細な亀裂が多数発生し、SBRでは数個の大きな亀裂が見られることが一般的です。耐オゾン性の高いゴムとしては、EPDMやCR(クロロプレンゴム)、IIR(ブチルゴム)が挙げられますが、特にCRは配合次第で耐オゾン性が低下するため、オゾン老化防止剤の添加が必要です。


ゴムの劣化を引き起こす主な要因

ゴム製品の劣化は、オゾン以外にも以下のような要因によって促進されます。


1. オゾン
オゾンはゴムの二重結合に作用し、主に天然ゴムやSBRに亀裂を引き起こします。EPDMのように二重結合を含まないゴムでは耐オゾン性が高く、劣化を抑えられます。


2. 油や溶剤
ゴムが油や溶剤、ガソリンなどに長期間触れると膨潤し、機械的特性が低下します。特に燃料ホースやシール材には耐油性が求められます。


3. 温度
高温では物性が低下し、低温では硬化して弾性が失われます。温度管理が不十分な場合、ゴムの劣化が急速に進行することがあります。


4. 水分
一般的にゴムは耐水性がありますが、ウレタンゴムなど一部のゴムでは水分を吸収して膨潤し、品質に影響を与えることがあります。また、加水分解による劣化も注意が必要です。


オゾンクラックを防ぐための具体的な対策

オゾンクラックのリスクを低減し、ゴム製品の耐久性を向上させるためには、以下の対策が有効です。


1. 適切なゴム材料の選択
二重結合を含まない、または少ないゴム(例:EPDM)を使用することで、オゾンによる劣化を抑えることができます。


2. オゾン老化防止剤やワックスの使用
ワックスを配合すると、ゴム表面に薄い保護膜(ブルーム)を形成し、オゾンとの接触を防ぎます。また、化学的にオゾン反応を抑制する老化防止剤の添加も有効です。


3. 保管および使用環境の管理
応力がかからない状態で保管することが重要です。重ね置きや吊り下げ保管を避け、平置きで保管します。
湿気の多い場所や高オゾン濃度の環境では保管を避けます。特に電気機器の近くや日光に直接さらされる場所では、オゾン濃度が上昇するため注意が必要です。


4. 製品設計での配慮
ゴム部品に過度な応力がかからないような設計を行い、使用条件に応じたゴム材料を選択することで、オゾン劣化の発生を防止できます。


まとめ:適切な材料選定と管理でゴム製品の信頼性を向上

オゾンクラックは、ゴム製品の使用環境や管理次第で防ぐことが可能です。適切な材料選定、保管環境の見直し、老化防止剤の活用などの対策を講じることで、ゴム製品の寿命を延ばし、性能を維持することができます。製品設計や製造時にこれらのポイントを考慮することが、長期的な信頼性向上につながります。


あわせて読みたい