ものづくりプレス

2025-01-04

ゴムの耐薬品性を徹底解説!25%の塩酸に耐えられる素材は?

ゴム素材を製品に活用したいんだけど、どんなゴムが適しているのかわからない、、、そんなお悩みありませんか?
例えば塩酸が通るパイプの中にゴムを貼り付けたい!(ライニング加工)という場合は、そのゴム素材がどれくらいの塩酸に耐えられるのかを考慮して素材を選ぶ必要があります!
この記事では、そんなゴムの耐薬品性について、素材ごとにまとめました!
こちらを活用して、最適な素材選びの参考にしていただければ幸いです。

ゴムの耐薬品性を徹底解説!25%の塩酸に耐えられる素材は?

塩酸に強いゴムとは

「塩酸に強いゴム」が必要な場面では、エチレンプロピレンゴム(EPDM)やフッ素ゴム(FKM)が注目されます。
それぞれ特性やメリットが異なるため、用途に合わせた選択が重要です。
以下でこれらのゴムの特徴や長所・短所をわかりやすく解説します。

エチレンプロピレンゴム(EPDM)

優れている点
耐熱性、耐候性、耐オゾン性に優れています。


劣る点
耐油性が低いです。


長所
EPDMは分子構造上、主鎖に二重結合を持たないため、ジエン系ゴムと比較して以下の特性が優れています。


耐熱性・耐老化性
高温環境でも安定しており、長期間使用可能です。


耐オゾン性
オゾンによる劣化に対して非常に強く、CRやIIRといった他の耐オゾン性ゴムと比べても際立っています。
この特性は配合に左右されず、EPDMの基本特性です。


耐薬品性
アルコールやエステルなどの極性溶剤や、硫酸などの無機酸、アルカリに対して高い耐性を持っています。


電気絶縁性
絶縁体として優れた性能を発揮し、IIRと同等の高い体積固有抵抗値を示します。


コスト効率
油展性や充填剤添加性に優れているため、性能を大きく損なうことなくゴム分を減らせ、材料コストの削減に寄与します。


高温用途への適応
パーオキサイド加硫を行うと、最高使用温度は150℃となり、高温用途にも対応できます。


短所
耐油性が弱い
鉱物油やトルエンなどの有機溶剤との相性が悪く、耐油性は他のゴムと比べて劣ります。


加工性の制限
生ゴムのロール巻き付き性があまり良くありませんが、粘着剤やオイルを配合することである程度改善可能です。


硫黄加硫時の耐熱性
硫黄加硫を行った場合、耐熱性が低下し、最高使用温度は約70℃程度までとなります。


可燃性
EPDMは可燃性があるため、耐炎性には向きません。

フッ素ゴム(FKM)

優れている点
・耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐水性が非常に高いです。
・汚染性が低く、清潔が求められる用途に適しています。


劣っている点
・比較的高コストです。
・耐寒性や強アルカリに対する耐性が低いです。


長所
フッ素ゴム(FKM)はポリマー内に強固なC-F結合を持つため、以下の特性に優れています。
耐熱性・耐薬品性・耐油性・耐水性
過酷な環境でも性能が劣化しにくく、他の汎用ゴムに比べて優れています。
この特性はC-F結合に由来するものであり、老化防止剤を配合する必要がありません。


低汚染性
配合に使用する薬品が少なくて済むため、抽出物が少なく、汚染を嫌う用途(食品産業や医療機器など)に適しています。


短所
耐寒性の弱さ
ガラス転移温度が高いため、低温環境での柔軟性が劣ります。


薬品耐性の限界
多くの薬品や油に耐性を持つものの、ケトン・エステル系の溶剤や強アルカリには耐性が低いです。


高コスト
ポリマー自体が高価であることに加え、比重が大きいため、製品コストが高くなりやすいです。


グレードの違いについて
FKMには複数のグレードがあり、用途に応じた選択が可能です。
それぞれのグレードは耐薬品性や耐熱性などの性能に違いがあります。

まとめ

富士ゴム化成では、ゴム加工の提案・実施だけでなく、素材選びからサポートいたします!

製品で使用するゴム素材選びに困っている方は、まずはお気軽にお問い合わせください!


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