ものづくりプレス

2024-12-28

PFASが東京都内の水道水から基準値を超えて検出。その危険性とは?

最近、東京都では地下水に含まれる「PFAS」という物質の調査が進められています。

この物質は水や油をはじき、熱にも強い特徴を持ち、フライパンや包装紙などに使われてきました。

しかし、PFASの一部には健康に悪影響を与える可能性があり、特に発がん性が指摘されています。

東京都では、都内全域で調査を行い、その結果、多くの自治体で基準を超えるPFASが検出されました。

これを受けて、自治体や専門家たちは、今後の対策や調査をさらに進める必要性を感じています。

今回の記事では、PFASの問題と東京都の対応について詳しくご紹介します。

水道水

PFAS値が基準を超えた自治体が増加

東京都では、地下水に含まれる「PFOS」や「PFOA」という物質の調査を、令和3年度から行ってきました。

この調査は、島しょ部を除く都内全域で実施され、予定よりも1年早く今月に終了しました。

調査の結果、都内の約3分の1にあたる21の自治体で、国が定めた暫定目標値を超えるPFASの値が検出されました。

昨年度までの調査では17自治体でしたが、今年は新たに足立区、台東区、八王子市、小平市が加わったとのことです。

“PFAS”とは?

「PFAS」というのは、「有機フッ素化合物」という名前の、1万種類以上にもなる化学物質のグループです。

この物質は水や油をはじく特性があり、熱にも強いので、フライパンや半導体、包装紙など、さまざまな製品に使われてきました。


ただし、PFASの中には人に害を及ぼす可能性があるものもあります。

そのため、現在は3種類のPFASについて、世界的に製造や輸入が禁止されています。

2023年12月には、WHO(世界保健機関)が「PFOA」と「PFOS」の発がん性についての評価を引き上げ、「PFOA」に関しては発がん性が最も高いグループに分類されました。


一方で、日本ではこれらの健康リスクに関して、十分な証拠が見つかっていないとされ、まだ評価が確定していない状況です。

今後の対策

都は実態を把握し、今後の対策を考えるため、新年度も同じ規模で調査を続ける予定です。


一部の自治体では独自に対策を取っています。

例えば、武蔵野市では2023年に市内の小中学校の井戸水を調べ、7か所から目標値を超えるPFASが検出されました。

この井戸は災害時に避難所として使用されるため、浄水機を設置し、安心して水を飲めるようにしています。


京都大学の原田准教授は、都内でPFASが発生している可能性がある場所がいくつかあることがわかっており、調査をさらに広げる必要があると指摘しています。

さらに、自治体と協力し、発生源の特定や対策を進めることが重要だと話しています。


一方、環境省の調査では、16都府県の111地点で国の基準を超えるPFASが検出されたことが分かりました。

ただし、これらの地域では水道水には問題なく、井戸水を使用する場合には注意が必要とされています。


また、世界保健機関(WHO)の研究機関は、PFOSとPFOAに発がん性があると指摘しています。

国内での不安が高まる中、環境省は新年度から研究を本格化させ、健康への影響を明らかにするための取り組みを強化しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

PFASに関する調査が進む中、都内の自治体がしっかりと対応を進めていることがわかります。

これからも、この問題についての理解を深め、関心を持ち続けることが大切です。

私たちがその意識を持つことで、より安全な環境づくりに貢献できるはずです。

引き続き注視していきましょう。


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・フッ素ゴムに含まれる配合剤について

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