ものづくりプレス

2024-12-24

ゴムのポアソン比とは?用語と、求め方を解説!

ゴム製品に力を加えると、特有の変形挙動が見られます。たとえば、ゴムのブロックを上から押すと、縦方向に圧縮される一方で、横方向には広がるように膨らみます。同様に、ブロックを引っ張ると縦方向に伸びる代わりに横方向は収縮して細くなります。このような「押すと広がり、引っ張ると細くなる」性質を定量化する指標がポアソン比です。
ポアソン比は、材料が応力を受けた際の横方向の変形(ひずみ)の割合を、縦方向の変形(ひずみ)の割合で割った値として定義されます。ゴムの場合、この値は0.5弱程度であり、金属では0.3程度が一般的です。この値は材料ごとに固有であり、設計や材料選定の際に重要な基準となります。特に、免震ゴムやせん断変形を伴う部品設計では、ポアソン比の理解が不可欠です。

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ポアソン比とは?もっとわかりやすく解説

ポアソン比は「物体に応力を加えたとき、応力の方向とは直角方向に発生する変形(横ひずみ)と、応力の方向に発生する変形(縦ひずみ)の比率」を示します。以下では、この概念をわかりやすく説明します。


・弾性とは?
物体の弾性とは、外力を加えて変形しても、力を取り除けば元の形状に戻る性質を指します。この性質が維持される範囲を弾性範囲と呼びます。たとえば、バネに荷重を加えれば伸びますが、その荷重を外せば元の形状に復元します。ただし、加えた力が大きすぎるとバネが破断し、元に戻らなくなることもあります。このような状態は弾性限界を超えた結果です。ポアソン比は、物体が弾性範囲内にある場合に適用できる指標です。


・ひずみとは?
「ひずみ」は、物体が受けた変形の割合を示す言葉です。たとえば、ゴム棒を引っ張った場合、その縦方向の伸びや横方向の縮みがひずみとして表されます。ただし、重要なのは「変形の量」ではなく「変形の割合」です。
具体例として、10cmの棒が1mm伸びるのと、100mのロープが1mm伸びる場合を比較します。前者の変形率は1%ですが、後者は0.001%と非常に小さくなります。このように、変形の影響を正確に評価するためには、割合として表すことが重要です。この割合がひずみであり、ポアソン比の計算に使用されます。

ポアソン比の計算方法

ポアソン比を計算するには、応力を受けた物体の縦方向および横方向の変形割合(ひずみ)を計算し、それらの比率を求めます。具体例で解説します。


・計算例
長さ50cm、直径4cmの円柱状の棒を引っ張ったとします。このとき、棒の長さが2mm伸び、直径が0.04mm細くなった場合を考えます。


1.応力方向(縦方向)のひずみ

 縦ひずみ=変形量(縦方向)/元の長さ=2 mm/ 50 cm=0.4%

2.直交方向(横方向)のひずみ

 横ひずみ=変形量(横方向)/元の直径=0.04 mm/ 4 cm=0.1%

3.ポアソン比の計算

 ポアソン比=横ひずみ/縦ひずみ=0.1/0.4=0.25


この例では、材料のポアソン比は0.25となります。


・注意点
実際の計算では、ひずみの符号に注意する必要があります。一般に、縦方向のひずみは正(引っ張り)、横方向のひずみは負(収縮)として扱います。そのため、ポアソン比を計算するときには符号を反転させるためにマイナスをつけることが一般的です。ただし、通常の材料ではポアソン比の値は正となるため、結果が正の値になるように計算されます。

ポアソン比の重要性

ポアソン比は一見難しい概念に思えるかもしれませんが、日常的な例で考えると理解が深まります。たとえば、ゴムボールを押しつぶしたり引っ張ったりすると、その変形挙動にポアソン比の性質が現れています。このような変形特性は、材料選定や設計において重要な指標のひとつです。特に免震構造やせん断を伴う部品の設計では、ポアソン比の値が製品の性能に直結するため、その理解が求められます。
設計や材料特性を考慮する際には、この指標を活用して、より精密かつ効率的な構造設計を目指しましょう。


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