ものづくりプレス

2024-12-24

ゴムの機械部品とは?素材ごとのメリットをご紹介!

ゴムは優れた弾力性を持ち、圧縮や引張といった力に対して高い復元力を発揮します。この特性により、機械部品として衝撃を吸収したり、振動を緩和したりする能力に優れています。特に密閉性が求められる場面では、ゴムの柔軟性が重要な役割を果たします。
具体的な用途例として、以下のような部品が挙げられます。


・シール材:油や水などの液体の漏れを防ぐ役割を果たします。
・ガスケット:圧力容器や配管の接合部で使用され、気密性を保つのに適しています。
・Oリング:丸い断面を持つ密封用リングで、簡便かつ効果的なシール手段です。
・ブッシュ:機械の軸受部分に使われ、摩擦や振動を低減します。
・ホース:流体や気体を移動させるための柔軟な管として利用されます。


さらに、耐候性や耐薬品性を備えた特殊なゴムもあり、厳しい環境下でも長期間安定した性能を維持することが可能です。

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ゴムの素材の種類

ゴム素材にはさまざまな種類があり、それぞれが独自の特性を持っています。これにより、用途や環境に適した選択が求められます。以下に主要なゴム素材とその特性を詳しく解説します。


天然ゴム(NR)

天然ゴムは樹液から作られる自然由来の素材で、以下のような特徴を持ちます。


・特性:優れた耐摩耗性と伸縮性を持ち、柔軟性に富んでいます。
・欠点:耐熱性や耐油性が低く、自然由来の不純物によって品質が変動することがあります。
・用途:トラックタイヤ、ホース、靴底など、機械的強度が求められる製品に使用されます。


ウレタンゴム(U)

ウレタンゴムは高い機械的強度と耐油性を持ち、過酷な環境下での使用に適しています。


・特性:摩耗性や荷重耐性に優れており、寒冷地でも弾性を保てます。
・欠点:耐熱性が低く、水に弱いため加水分解による劣化が見られます。
・用途:高圧パッキン、工業用ロール、タイヤなど、強い負荷がかかる製品に利用されます。


フッ素ゴム(FKM)

フッ素ゴムは極めて高い耐熱性と耐薬品性を誇ります。


・特性:200℃を超える高温や油、薬品に対して安定した性能を発揮します。
・欠点:寒冷地では弾性を失いやすく、特定の化学物質(ケトンや有機酸)に弱い点があります。
・用途:化学工場のパッキン、ロケットエンジンの耐熱部品など、高温環境や厳しい化学的条件が求められる分野で使用されます。


シリコンゴム(SI)

シリコンゴムは、幅広い温度範囲で安定した特性を持つ素材です。


・特性:-50℃から200℃の温度範囲に対応可能で、耐候性や電気絶縁性にも優れています。紫外線や風雨による劣化が少なく、長期使用が可能です。
・欠点:機械的強度が低く、摩耗や引裂きへの耐性が劣ります。
・用途:防振ゴム、家電製品(電子レンジやテレビ)の部品に使用されています。


クロロプレンゴム(CR)

クロロプレンゴムは耐油性と耐候性を兼ね備えたバランスの良い素材です。


・特性:耐熱性、耐薬品性、耐オゾン性に優れ、さまざまな用途に対応可能です。
・欠点:電気絶縁性や耐水性は他の素材に比べて劣ります。
・用途:コンベアベルト、窓枠、防振ゴムなど、一般的な工業用品に幅広く利用されています。


ニトリルゴム(NBR)

ニトリルゴムは耐油性に優れ、自動車部品や工業製品で広く使われています。


・特性:軽油、ガソリン、アルコールに強く、摩耗性も改良可能です。
・欠点:耐候性が低く、直射日光を避ける必要があります。また、耐寒性や耐薬品性にも限界があります。
・用途:Oリング、オイルホース、印刷ロールなど、耐油性が重要な分野で活用されています。


ブチルゴム(IIR)

ブチルゴムは気密性に優れた素材で、特殊な用途に適しています。


・特性:耐寒性、耐熱性、耐薬品性、耐候性に優れ、オゾンや化学物質に対する耐性も高いです。
・欠点:鉱油や金属への接着性が弱いことが課題です。
・用途:窓枠ゴム、タイヤチューブ、人工芝用パッドなど、特に気密性が重要な製品で使用されます。


ゴム素材の選択ポイント

ゴム素材はそれぞれ特性が異なるため、用途や環境に応じた最適な素材選びが求められます。


・耐油性:自動車部品や工業用途には、ニトリルゴムやウレタンゴムが適しています。
・温度対応:過酷な温度条件下では、シリコンゴムやフッ素ゴムが最適です。

・コストと供給:天然ゴムは安価で供給量も多いため、一般的な用途に適しています。


各素材の特性を十分に理解し、適切な選択を行うことで、効率的かつ高性能な製品設計を実現できます。


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