ものづくりプレス

2025-01-25

エンジニアリングプラスチックとゴム素材の違いとは?用途別の選び方ガイド

エンジニアリングプラスチック(エンプラ)とゴム素材は、工業界で幅広く利用される重要な材料ですが、それぞれ異なる特性と用途を持っています。
エンプラは、特に優れた機械的強度、耐熱性、耐薬品性を備え、高機能が求められる部品や機器に適しています。
一方、ゴムは伸縮性に富み、瞬時に元の形に戻る特性があり、パッキンやタイヤ、ホースなど、柔軟性が求められる用途で重宝されています。
それぞれ異なる特性を持ち、多様な環境で使用されるため、選択する際には使用目的に応じた材料選びが重要です。
本記事では、エンプラとゴムの特性や用途の違いを詳しく解説し、それぞれの最適な選択方法を探ります。

ゴムホース

エンプラとは?

エンプラ(エンジニアリングプラスチック)とは、特に優れた機械的強度、耐熱性、耐薬品性を持つプラスチックのことを指します。
一般的なプラスチック(熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂)と比較して、エンプラはより高度な機能が求められる用途に適しており、工業部品や精密機器、医療機器など、さまざまな分野で広く利用されています。


エンプラの用途
エンジニアリングプラスチック(エンプラ)は、さまざまな産業で重要な役割を果たしています。


自動車産業では、軽量化と燃費向上のために金属の代替材料として広く使用され、高温部品にも耐熱性が評価されています。
電気・電子産業では、優れた電気絶縁性と寸法安定性が求められる部品に利用され、モバイル機器の小型化を支えています。
医療機器分野では、高い耐熱性と耐薬品性が医療用品やインプラントに活かされています。
航空宇宙産業では、過酷な条件下でも使用できる高強度かつ軽量な材料として、機体の構造部品に適しています。
化学産業では、腐食性化学物質に耐えるエンプラが設備や配管に使用され、安全性を向上させています。
食品産業でも、耐熱性と耐薬品性が食品加工や包装機器に活かされ、衛生管理に寄与しています。

ゴムとは?

ゴムは、伸縮性を持つ物質であり、その一般的な定義は以下の2点です。
・わずかな外力を加えることで2倍以上に伸びる
・外力を取り除くと瞬時に元の長さに戻る


つまり、ゴムは簡単に伸びたり縮んだりする特性を持つ素材です。
この特徴からもわかるように、ゴムの最大の特性は「ゴム弾性」です。
もし金属で平パッキンを作った場合、金属は硬いため、小さな力を加えても形が変わることはありません。


その結果、金属製のパッキンでは隙間が生じ、空気や液体が漏れてしまうことになります。


ゴムの用途
工業用ゴムは「天然ゴム」と「合成ゴム」の2種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。
天然ゴムは高い弾性と加工性を備え、タイヤやホースの原料として使用されますが、特殊環境への耐性は低いです。
一方、合成ゴムは多様な化学物質から作られ、性能も多岐にわたります。


例えば、シリコーンゴムは耐熱性や安全性が高く、ウレタンゴムは摩耗耐性に優れています。
クロロプレンゴムは油に強く、エチレンプロピレンゴムは耐候性に優れています。
ニトリルゴムは耐油性が高く、自動車部品に使用され、ブチルゴムは防振性と耐水性を持っています。
フッ素ゴムは薬品や熱に強く、高性能ですがコストが高いです。スチレンブタジエンゴムは耐熱性や耐摩耗性に優れ、主にタイヤやホースに用いられます。
このように、用途に応じた多様なゴム素材が存在しています。


エンジニアリングプラスチックとゴム素材は、それぞれ異なる特性と利点を持つため、使用目的に応じて選択することが重要です。
エンジニアリングプラスチックは構造的な強度や耐熱性が求められる場面で、ゴム素材は柔軟性や弾力性が必要な場面で、それぞれ最適な選択となります。