ものづくりプレス

2025-02-10

合成ゴム需要減少の要因解析:自動車業界と中国経済の影響

合成ゴムは、タイヤや自動車部品など、私たちの生活に欠かせない製品に使われています。

しかし、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中で自動車工場が停止し、タイヤの需要も急激に落ち込みました。

その影響は合成ゴムの需要にも及び、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)やブタジエンゴム(BR)の生産量が大幅に減少しました。

さらに、中国をはじめとする主要なゴム市場も、経済の鈍化やインフラ投資の減少で打撃を受けました。


本記事では、コロナ禍や中国経済の影響がどのように合成ゴム市場に波及し、今後どのような課題と可能性があるのかを掘り下げていきます。

タイヤ

自動車業界の影響

新型コロナウイルス感染拡大による世界的なロックダウンや自動車工場の稼働停止が、合成ゴムの需要に大きな影響を与えました。

特に自動車業界うにおける生産台数の減少が、タイヤをはじめとする合成ゴム製品の需要低下を招きました。


タイヤ業界では、新車用タイヤの需要が市販用タイヤ以上に大きく減少しました。

住友ゴム工業の発表によると、同社では新型コロナの影響により売上収益が167億円、事業利益が82億円、純利益が52億円それぞれ減少しました。

これは、タイヤ販売量が大幅に減少したことに起因しています。

一方で、産業品や衛生用品の需要増加が、若干ながら事業にプラスの影響を与えたとしています。

他のタイヤメーカーにも同様の影響が見られ、ブリヂストンは数量減が営業利益に290億円のマイナス要因となり、横浜ゴムでは23億円、TOYO TIREでは42億円の減益要因となりました。

ただし、全体的な販売数量が減少する中で、高インチタイヤの需要は堅調を維持しており、一部の市場での需要が底堅く推移していることが確認されています。


こうした状況から、合成ゴムの需要低下は自動車産業との密接な関係を再認識させるものでした。

コロナ禍により自動車産業の生産が一時的に停滞した結果、合成ゴム市場全体が大きな影響を受けたと言えます。

中国経済の影響

近年、中国は世界最大の工業用ゴム製品市場として圧倒的な存在感を示してきました。

世界全体における合成ゴムの国別比率では、中国が53.8%を占め、そのシェアは他国を大きく上回っています。

しかし、近年の中国経済の成長鈍化が、合成ゴム市場に深刻な影響を及ぼしています。


中国では工業用ゴム製品の需要の大半が、自動車産業に依存しています。

国内消費向けの合成ゴムの58.6%が自動車タイヤの原料として使用されており、自動車産業の動向がゴム需要を左右しています。

しかし、経済減速の影響で自動車販売台数が伸び悩み、生産縮小を余儀なくされるメーカーが増えています。

これにより、タイヤの製造需要も低下し、結果的に合成ゴム市場全体の需要が減少しています。


さらに、インフラ投資の鈍化や輸出減速もゴム需要に影響を与えています。

中国はこれまで積極的なインフラ投資によって防振ゴムやシーリング材の需要を支えてきましたが、現在は投資の縮小が進んでいます。

また、海外輸出向け製造業の生産減少により、ゴムを含む中間材の需要が低迷しています。


このような状況は中国にとどまらず、世界全体のゴム市場にも波及しています。

中国からの需要減少は、主要なゴム供給国であるマレーシアや日本、米国、韓国にも影響を及ぼし、各国のゴム産業が市場縮小への対応を迫られています。

まとめ

合成ゴムの需要は、自動車産業や中国経済の動向に大きく影響を受けていますが、それは私たちの日常とも無関係ではありません。

車を使った移動や生活を支える製品の多くにゴムが使われているからです。

これからの市場回復には、新しい需要の創出や持続可能な素材への転換が鍵となるでしょう。

コロナ禍や経済の変化を乗り越え、ゴム産業がどのように進化していくのか、今後も注目していきたいですね。

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