ものづくりプレス

2025-02-14

ゴム製品の原材料戦略:天然ゴム、合成ゴムの価格変動に対応

ゴム業界では、「天然ゴムと合成ゴムの価格はよく連動する」と言われます。

どちらも輸入品なので、為替レートの影響を受けやすいためです。

ところが、2022年はこれまでの常識が大きく崩れました。

合成ゴムの価格が大幅に上昇する一方で、天然ゴムの価格は下落。このような異例の動きに、業界は大きな影響を受けました。


では、こうした原材料価格の変動が続く中で、企業が利益を確保するためにはどうすればいいのでしょうか?

この記事では、価格変動の背景を探りつつ、現状に対応するためのコスト管理や価格戦略について考えていきます。

パソコンに為替レートが写っている画像です

天然ゴムと合成ゴムの関係

業界では、よくこんな風に言われています。「天然ゴムと合成ゴムの価格は連動して動くことが多い」と。

その理由はシンプルです。

どちらも原料を含めて輸入品なので、為替レートが影響を与えるからです。

たとえば、天然ゴムはほとんどがアジア産で、価格は基本的にUSドルか人民元で決まり、それを円に換算して価格が決まります。

一方、合成ゴムはナフサを原料としていて、そのナフサ価格もUSドルベースで決まり、同じく為替で円価格が算出されます。

つまり、円安になれば天然ゴムも合成ゴムも円価格が上がるというわけです。


タイヤゴムの価格変動メカニズム

さらに、タイヤに使われるゴムの中では、天然ゴムと合成ゴムをある程度入れ替えることができます。

日本では10%程度ですが、中国では30%くらい変更可能です。

そのため、天然ゴムの価格が上がると、コストを抑えるために合成ゴムに切り替える動きが出て、合成ゴムの需要が増えます。

そして、需要が増えれば合成ゴムの価格も上がります。

逆もまた然りです。


こうして天然ゴムと合成ゴムの価格はお互いに影響を与え合うのです。

ただ最近では、タイヤの性能が上がったことで、配合が固定されることが多くなり、価格の連動性が少し弱まっています。


2022年、ゴム市場を揺るがした要因

ところが、2022年はこの連動性が崩れました。

2022年1月から7月にかけて合成ゴム原料の価格は約50%上昇しました。

国内の合成ゴム価格も2022年8~10月にピークを迎えました。

一方、天然ゴムの価格は1~4月の間はほぼ変わらず、その後5~10月にかけて20%以上下がりました。


ブタジエン価格も7月以降は下がりましたが、12月には1月とほぼ同じ水準に戻っています。

対照的に、天然ゴムの価格は年初から年末までで約20%も下がったのです。

2022年春、合成ゴム原料の価格が上がったにもかかわらず、天然ゴムの価格は逆に下がりました。


このように、価格の連動性が働かないこともあります。

2022年は、天然ゴムと合成ゴムの価格が全く別の動きを見せました。

中国の景気低迷や新型コロナの影響、特にロックダウンによるタイヤ生産の減少が天然ゴムの需要を大きく抑えました。

一方、合成ゴム原料の価格は需給バランスによって決まっていたため、この差が生まれました。

2022年は特別な年だったと言えるでしょう。

ゴム原材料高騰の対処法

原材料が価格高騰している中で、どうやって利益を確保していけばいいのでしょうか?


まず取り組むべきなのは、現状のコストをしっかり把握することです。

原材料費が上がった分だけに目を向けるのではなく、無駄なコストがどこにあるのかを見つけて削減することが重要です。

この方法なら、お客様への価値を下げることなく、利益を増やせる可能性が高まります。現状を正確に把握することが成功への第一歩です。


次に考えるべきは、価格改定(値上げ)です。

ただし、値上げをするとお客様の満足度が下がり、購入する人が減る可能性があります。

とはいえ、商品1つあたりの利益が増えるため、減ったお客様の分をカバーできれば成功といえます。

また、値上げがきっかけで新しい客層を獲得できることもあるかもしれません。

重要なのは、値上げ後の売上や利益を迅速に確認することです。

早く状況をつかめば、その分だけ柔軟に改善や方向転換ができます。


コスト管理と素早い対応が、利益確保のカギになるでしょう。

まとめ

ゴム素材を取り巻く環境は、これからも変化し続けるでしょう。

天然ゴムと合成ゴムの価格変動に振り回されるのではなく、現状をしっかりと把握し、柔軟な対応策を講じることが大切です。

無駄なコストを見直し、必要に応じて価格改定を行いながら、顧客満足度と利益のバランスを保つことが成功へのカギです。

今後の市場変化に備え、一歩先を見据えた戦略を立てていきましょう。