ものづくりプレス

2025-02-15

ゴムの耐熱性とその応用範囲を徹底解説!

ゴムは熱を加えると硬くなる特性を持っていますが、その限界温度を超えると柔らかくなったり、強度が低下したりして、使いにくくなることがあります。

しかし、耐熱性に優れたゴムもあり、適切な素材を選べば高温環境でも安心して使用できます。


この記事では、耐熱性が高いゴムの種類とその用途について紹介し、どのゴムがどのような環境で最適かを詳しく解説します。

最適なゴムを選ぶことで、より長持ちし、信頼性の高い製品が手に入ります。

木を燃やしている画像です

ゴムの耐熱性とは

ゴムは熱を加えると硬くなる特性がありますが、その限界温度を超えると、柔らかくなったり、強度が低下して変形したり、周りにくっついてしまうなど、使いにくくなることがあります。

ゴムは工業材料の中では耐熱性が特に高いわけではありませんが、実は耐熱性に優れたタイプのゴムも存在します。

例えば、フッ素ゴムやシリコーンゴムは、耐熱性に強いので、使用環境に合わせて最適なゴムを選ぶことが大切です。

ゴムを選ぶ際には、最高温度や最低温度、耐薬品性や耐オゾン性、耐候性、耐摩擦性など、さまざまな特性を総合的に考慮する必要があります。

また、ゴムの配合や添加剤を工夫することで、これらの弱点を改善することも可能です。


ゴムの耐熱性の種類

ゴムの耐熱性は、次の3つのポイントで考えることができます。


耐熱温度

ゴムが短時間で耐えられる最高温度のことです。

つまり、どれくらい高い温度に耐えられるかという限界温度です。


使用耐熱温度

長時間、連続して使用しても安全に使える温度のことを指します。

これがゴムを長期間使う上で重要な温度範囲です。


耐熱老化性と温度の関係

ゴムは長時間使用していると、熱の影響で劣化が進みます。

耐熱老化性とは、ゴムが熱による劣化をどれくらい耐えられるかという性質のことです。

この耐熱性は、ゴムの分子構造によって大きく変わります。

例えば、ゴムの分子に二重結合を含むもの(ジエン系ゴム)は耐熱性が低いですが、二重結合が少ないか全く含まないゴムは耐熱性が高いです。


また、同じゴムでも、配合の違いによっても耐熱性が変わります。

例えば、硫黄を使った加硫ゴムよりも、無硫黄加硫ゴムの方が耐熱性が優れていることがあります。

耐熱性の高いゴムの種類とその用途

ゴム素材には、耐熱性に優れたものがいくつかあり、さまざまな産業で重要な役割を果たしています。

代表的な耐熱ゴムとその用途を紹介します。


シリコーンゴム (Q)

シリコーンゴムは、220°Cを超える高温でも安定した性能を発揮するため、高温環境に最適なゴム素材です。

これにより、自動車部品、医療用品、電気絶縁材料などで広く使用されています。

例えば、エンジンガスケットやホース、シール材など、自動車部品に利用され、またカテーテルやシリコーンチューブ、医療用シール材など医療用品にも欠かせません。

さらに、ケーブル被覆やコネクタシールといった電気絶縁材料としても使われ、耐候性や電気絶縁性にも優れています。


フッ素ゴム (FKM)

フッ素ゴムは、最大300°Cまでの高温に耐えることができ、耐薬品性や耐油性にも優れています。

この特性により、過酷な環境で使用される場面が多く、化学プラントや航空宇宙産業、自動車部品で重宝されています。

化学プラントではパッキンやシール材、ホースに使用され、航空宇宙産業では燃料システムシールやオイルシールに利用されています。

また、自動車部品としては燃料ホースやオイルシール、ガスケットなどにも使われています。

特に耐油性や耐薬品性が重要な環境下で、その優れた耐久性を発揮します。


エチレンプロピレンゴム (EPDM)

EPDMは、150°Cまでの耐熱性を持ち、耐候性や耐オゾン性に優れています。

このため、屋外で使用される建築材料や自動車部品、電気用ゴム部品に最適です。

例えば、屋根材や防水シート、窓枠シールなど建築材料で広く使用され、ドアシールやウィンドウシール、ホースなど自動車部品にも多く使われています。

さらに、ケーブルジャケットや絶縁材といった電気用ゴム部品にも使用され、耐熱性と耐候性のバランスが取れているため、長期間にわたって信頼性の高い性能を提供します。


これらの耐熱ゴムは、それぞれの特性を活かして多種多様な用途に対応しています。

使用環境に応じたゴム素材を選ぶことで、機器の信頼性を高め、長期間にわたる安全な使用が可能になります。

まとめ

耐熱性に優れたゴムは、さまざまな産業で活躍しており、用途に応じた最適な素材を選ぶことが大切です。

高温環境でも安定して性能を発揮するゴムを選べば、製品の寿命が延び、信頼性も向上します。

どのゴムが最適かを考え、必要な特性を持った素材を選ぶことで、より安心して長期間使える製品を手に入れることができます。

自分の用途にぴったりなゴム素材を見つけて、快適に活用していきましょう!

記事検索

NEW

  • エンジニアリングプラスチック
    2025/03/21
    エンジニアリングプラスチックの進化!軽量化と高強度の両立が可能に
    スーパーエンプラは、軽量化...
  • 硬そうなタイヤ
    2025/03/20
    ゴムの硬度で何がわかる?計測方法や硬さの目安
    ゴムが持つ硬さの度合いを数...
  • フッ素樹脂
    2025/03/20
    フッ素樹脂が注目される理由!環境負荷を減らす新たな用途
    フッ素樹脂と聞くと、フライ...
  • 射出成形
    2025/03/19
    射出成形における新技術!効率化と品質向上の鍵を握るポイント
    射出成形は、プラスチック製...

CATEGORY

ARCHIVE