ものづくりプレス

2025-02-26

真空成形と圧空成形、どちらを選ぶべきか?

ものづくりにおいて、どの成形方法を選ぶかは製品の品質やコストに直結します。

中でも「真空成形」と「圧空成形」は、プラスチック製品の製造に広く使われる工法です。

どちらもシート状のプラスチックを加熱して柔らかくし、金型に密着させて形を作るという点で似ていますが、実は用途や仕上がりに大きな違いがあります。


本記事では、真空成形と圧空成形の基本的な仕組みを解説し、それぞれのメリットや適した製品例について詳しくご紹介します。

製品デザインや生産量、コストを考慮しながら、あなたのプロジェクトに最適な成形方法を見つけるためのヒントをお届けします。

製造

真空成型と圧空成形の基本を理解しよう

真空成形

真空成形は、熱で柔らかくしたプラスチックシートを型にかぶせ、型の下の空気を吸い出して真空状態にすることで、シートを型の形状に密着させる方法です。

その後、冷やして固めることで、目的の形に仕上げます。


圧力成形

圧力成形も、プラスチックシートを熱で柔らかくする点では真空成形と同じです。

ただし、こちらは真空ではなく、空気圧を使ってプラスチックを型に押し付けるため、より細かく精密な形状を作り出すことができます。

真空成型と圧空成形の違い

金型の違い

真空成形と圧空成形では、どちらも凸型(雄型)または凹型(雌型)の金型を使用します。

ただし、圧空成形では金型に大きな負荷がかかるため、より高い強度が求められます。

凸型:製品内側の寸法精度や厚みを重視する場合に使用。

凹型:製品外側の寸法やデザインを重視する場合に適しています。


空気圧力

圧空成形では真空成形よりも高い空気圧を使用します。

そのため、材料をより強く金型に押し付けることができ、細部まで精密に成形できます。


薄肉製品への対応

どちらの方法も、1mm~6mm程度の薄い製品に適しています。


生産量

真空成形と圧空成形は、少量から中量生産に向いています。

金型費用が安く、準備時間も短いため、射出成形より効率的です。


寸法精度と仕上がり

圧空成形のほうが、より高い寸法精度とシャープなデザインを実現できます。

自動車内装や医療機器など、精密さが求められる製品に適しています。


大型製品の対応

どちらも大型製品に対応可能ですが、成形時にはゴミや異物の混入に注意が必要です。

また、大型製品では冷却や温度管理が特に重要で、適切でないと製品の厚みにムラが生じたり反ることがあります。


納期

真空成形と圧空成形は、射出成形と比べると金型の製作期間が短いため、納期も短縮できます。

ただし、製品の形状によっては例外もあります。


これらの違いを理解することで、用途に応じて最適な成形方法を選ぶことができます。

どちらを選ぶべき?用途別ガイド

真空成形が適している場合

真空成形は、次のような条件に合うプロジェクトに最適です。


少量~中量生産に最適なコスト重視の方法

生産コストを抑えたい場合に効果的です。


シンプルなデザイン

複雑な形状や細部が不要な製品に適しています。


迅速な納品が必要

短期間で製品を製造する必要がある場合に便利です。


特定の熱可塑性材料を使用

使用する素材が限定されている場合にも適しています。


真空成形製品の例

保護用のパッケージ

ディスプレイトレイ

シャワールームの壁面

看板


圧力成形が適している場合

以下のような要件があるプロジェクトでは、圧力成形がより適しています。


複雑で細かいデザイン

緻密で精密な形状が必要な場合に理想的です。


均一な厚みと高い精度

壁の厚さを均一にし、製品の品質を向上させます。


大型部品の製造

サイズが大きいパーツを製造する際にも適しています。


圧力成形製品の例

自動車のダッシュボード

医療機器の部品

冷蔵庫の内壁ライナー

飛行機の内装パネル

まとめ

いかがでしたか?

真空成形と圧空成形、それぞれに特徴やメリットがありますが、どちらが最適かはあなたのプロジェクトの要件に合わせて選ぶことが大切です。

デザインの簡単さやコスト、納期などを考慮しながら、最適な方法を選ぶことで、より効率的に高品質な製品を作ることができます。

どちらの方法があなたのニーズに合っているかをしっかりと理解し、ベストな選択をしてみてください。