ものづくりプレス
2025-03-03
射出成形におけるエネルギー効率化の取り組みとは?
射出成形は、溶かしたプラスチックを金型に高い圧力で注入し、冷却して固めることで、特定の形状の製品を作る製造方法です。この技術は自動車部品、医療機器、日用品、電子機器の筐体など、さまざまな産業で利用されています。
射出成形の最大の特徴は、大量生産に適している点です。一度金型を作成すれば、同じ形状の製品を高い精度で繰り返し生産できるため、コスト削減につながります。また、成形時の加工精度が高く、細かいディテールの再現も可能です。
さらに、射出成形では、製品の強度や耐久性を高めるために、材料の選定や成形条件の最適化が重要となります。近年では、3DプリンターやAIによる品質管理が進化し、より効率的な射出成形プロセスが実現されています。
射出成形で使われる材料
射出成形で使用される材料は、大きく分けて熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックの2種類があります。
・熱可塑性プラスチック(Thermoplastics)
・加熱すると溶け、冷却すると再び固まる特性を持つため、リサイクルが可能。
・代表的な材料:ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(ナイロン)など。
・熱硬化性プラスチック(Thermosetting plastics)
・一度硬化すると再加熱しても溶けず、耐熱性や機械的強度が高い。
・代表的な材料:エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など。
材料選びは、製品の用途や求められる特性に応じて慎重に行われます。
射出成形で使う設備
射出成形を行うためには、以下の主要な設備が必要です。
・射出成形機(Injection Molding Machine)
プラスチックを溶かし、金型に射出するための機械。
油圧式、電動式、ハイブリッド式の3種類がある。
・ホッパー(Hopper)
材料となるプラスチックペレットを投入する装置。
・加熱シリンダー(バレル)(Heated Barrel)
プラスチックを溶かすための加熱装置。
・射出ノズル(Injection Nozzle)
溶かしたプラスチックを金型に流し込む部分。
・金型(モールド)(Mold)
製品の形状を決定する型で、冷却機能も備える。
・冷却装置(Cooling System)
金型を冷却し、プラスチックを固める。
射出成形機の選定は、製品のサイズや精度、求められる生産スピードによって異なります。
射出成形のプロセス
射出成形は、以下の3つの主要ステップで構成されます。
・射出(Injection)
プラスチックを加熱して溶かし、金型へ高圧で射出。
・冷却(Cooling)
金型内でプラスチックを冷却し、固まるまで待機。
・取り出し(Ejection)
固まった製品を金型から取り出し、次の生産サイクルへ。
各工程の効率を上げることで、エネルギー消費を抑えることが可能になります。
射出成形のエネルギー効率改善の重要性
射出成形はエネルギーを大量に消費する製造プロセスであり、加熱、射出、冷却、金型の開閉などの工程ごとに電力が必要です。そのため、エネルギー効率の向上がコスト削減や環境負荷の低減につながります。
近年、企業は持続可能な生産を目指し、省エネ技術や再生可能エネルギーの活用を進めています。
機械の選び方でエネルギー効率が大きく変わる
エネルギー消費を抑えるためには、射出成形機の選定が重要です。
・電動式射出成形機
油圧式に比べてエネルギー消費が約30~50%削減可能。
モーター制御で精密な動作が可能。
・油圧式射出成形機
大型部品の成形に向いているが、エネルギー消費が大きい。
・ハイブリッド式射出成形機
油圧式と電動式の利点を併せ持ち、エネルギー効率を向上。
プロセスの最適化
エネルギー消費を抑えるには、成形プロセス全体を見直すことが必要です。
・サイクルタイムの短縮
冷却時間の最適化により、成形スピードを向上。
・予熱の活用
材料を事前に温めることで、加熱エネルギーを削減。
・適切な圧力設定
不必要な圧力をかけないことで、省エネを実現。
エネルギーの再利用
エネルギーを効率的に使うために、以下の取り組みが進んでいます。
・再生可能エネルギーの導入
ソーラーパネルや風力発電の活用。
・廃熱回収システム
射出成形機の排熱を利用し、工場内の加熱設備に再利用。
・スマートエネルギー管理
IoT技術を活用して、リアルタイムで電力使用を最適化。
まとめ
射出成形のエネルギー効率化は、環境負荷の低減とコスト削減の両方に貢献します。機械の選定、プロセスの最適化、エネルギーの再利用といった取り組みを進めることで、より持続可能な生産が可能となります。
今後も技術革新が進み、エネルギー効率の向上が期待されるため、企業は積極的に新しい技術を取り入れていくことが求められます。
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