ものづくりプレス

2025-01-14

射出成形の基本と応用:インサート部品から板金加工まで徹底解説

射出成形は、プラスチックや金属部品を大量生産するための重要な加工技術です。特に、インサート部品を組み込んだ射出成形は、強度や耐久性を求められる製品において、その重要性が増しています。
本記事では、射出成形の基本的な特徴からインサート部品の役割、さらには板金加工との関係についても徹底解説します。
これにより、射出成形技術の応用範囲や活用される業界についても理解を深めることができます。
ものづくり業での効率化や品質向上に貢献できれば幸いです!

射出成形

はじめに

射出成形とは?

射出成形は、熱で溶かしたプラスチックやゴムなどの材料を金型(モールド)に圧入し、冷却・硬化させることで製品を作り出す製造技術です。

このプロセスは、さまざまな形状や寸法の製品を高精度かつ効率的に製造できることが特徴です。

射出成形機を使用して、液体状になった材料をノズルから射出し、金型内部のキャビティ(空洞部分)に注入することで、細部まで再現性の高い製品を作ることができます。


この技術は、家庭用品から工業部品、医療機器に至るまで、幅広い分野で利用されています。

その汎用性の高さと精密な加工能力が、多くの製造業者にとっての、射出成形を選ぶ理由となっています。

この次に、射出成型が重要な理由を詳しくご説明します!

射出成形が重要な理由

射出成形は、現代の製造業を支える重要な技術であり、以下のような利点があります。


精密な形状の再現

複雑なデザインや微細なパターンを持つ製品でも、高精度で再現可能です。

例えば、電子機器の部品や自動車の内装部品など、寸法精度が求められる製品に最適です。


高い生産効率

短いサイクルタイムで大量生産が可能なため、コストパフォーマンスに優れています。

また、一度金型を作成すれば、同じ品質の製品を繰り返し生産することができます。


素材の多様性

射出成形では、プラスチック、ゴム、金属など多くの材料が使用できるため、製品の用途に応じて最適な素材を選択できます。


耐久性の向上

成形プロセスによって、製品の強度や耐久性を高めることができます。

これにより、長期間の使用に耐える製品の製造が可能です。


これらの特性から、射出成形はあらゆる産業で必要不可欠な技術として位置づけられています。

特に、自動車部品や医療機器など、品質と精度が要求される分野でその真価を発揮しています。

射出成形の特徴

多様な材料への対応

射出成形は、多様な材料に対応可能な製造技術です。

プラスチック、ゴム、金属など、あらゆる素材を使用することで、製品の用途や性能に応じた最適な設計が実現します。

例えば、自動車部品には耐熱性や強度が求められる樹脂、医療機器には生体適合性や精密さが必要な特殊プラスチックが利用されています。

この柔軟性が、射出成形の高い需要を支えています。

高い精度と品質

射出成形は、高精度な製品製造を可能にする技術です。

精密な金型を使用することで、製品の形状や寸法を微細に調整できます。

これにより、電子部品や医療機器など、極めて高い精度が要求される分野でも活用されています。

また、金型の設計から製造プロセスまでを徹底的に管理することで、不良品の発生を最小限に抑える品質保証が実現します。

例えば、スマートフォンのケースやカメラレンズのホルダーなど、射出成形による高い品質が求められる製品は数多く存在します。

小ロットから大量生産までの対応

また射出成形は、小ロット生産から大量生産まで幅広く対応できる柔軟性を持っています。

試作品の少量生産では、迅速な設計変更や試験が可能です。

一方、大量生産では、一度の成形で複数の製品を同時に作り出すことで、製造コストを大幅に削減できます。

この柔軟性により、製品の開発段階から市場投入までをスムーズに進めることが可能となります。

特に、自動車や家電など、大量の部品が必要な産業では、この特性が大きなメリットとなります。

高速生産とコスト効率

射出成形のもう一つの大きな特長は、高速生産と優れたコスト効率です。

一回の成形サイクルは数秒から数分と非常に短く、大量生産においては特に効率的です。

また、材料の無駄を最小限に抑える設計と成形技術により、資源の有効活用が実現します。

さらに、製造過程でエネルギー消費が少ないため、環境への負荷も軽減されます。

これらの利点により、射出成形は競争の激しい市場で高品質な製品を低価格で提供する手段として広く活用されています。


射出成形のこれらの特徴は、現代の製造業における課題を解決するための重要な要素となっており、さまざまな産業で不可欠な存在となっています。

インサート部品とは?

インサート部品の概念

インサート部品は、射出成形技術を活用し、金属や他の素材をプラスチックやゴム製品に埋め込むプロセスで作られる部品です。

この技術は、異なる素材同士を一体化させ、製品の強度や機能性を向上させる目的で広く利用されています。

インサート部品は特に耐久性が求められる製品や、機能性が重要視される用途で非常に効果的です。


具体的には、金属製のねじやシャフトをプラスチック部品に組み込む場合、インサート成形が活用されます。

この方法により、金属とプラスチックの接合が強固になり、手作業による後加工が不要となるため、生産効率が大幅に向上します。

インサート部品の利用シーン

インサート部品は、さまざまな産業分野で利用されています。以下に主な応用例を挙げます。


自動車産業
自動車部品の中には、強度や耐熱性が求められる箇所が多く存在します。

インサート部品は、エンジン周辺や内部構造の部品に用いられることが多く、耐久性や軽量化の両方を実現する重要な役割を果たしています。

例えば、プラスチック製のカバーに金属製のねじを埋め込むことで、取り付け時の強度を確保しながら軽量化を図ります。


電子機器
電子機器では、内部構造の一体化や熱伝導性が求められるケースがあります。

インサート成形により、基盤部品やコネクタの強度が向上し、電子部品の保護や長寿命化を実現できます。

例えば、携帯電話やノートパソコンの外装部品には、インサート成形技術が活用されており、耐久性とデザイン性を両立させています。


医療機器
医療分野でもインサート部品は欠かせない存在です。高精度と衛生管理が求められる医療機器において、プラスチックと金属の組み合わせにより、機器の機能性や耐久性が向上します。

たとえば、手術用器具や医療用センサーには、インサート成形技術が活用され、軽量かつ丈夫な製品が提供されています。

射出成形とインサート部品の関連性

射出成形技術は、インサート部品の製造において不可欠な役割を果たします。

射出成形は、プラスチックやゴムを溶融状態で金型に流し込み、固化させる技術です。

このプロセスにおいて、金属部品や他の素材を事前に金型にセットすることで、プラスチックが金属部品を取り囲む形で一体化します。

また、金属だけでなく、セラミック、繊維など、様々な材料がインサートとして利用できます。


この方法には以下のメリットがあります:
接合の強度向上

金属とプラスチックが一体化することで、剥離や破損のリスクを低減できます。


コスト効率の向上

一体成形により、後加工や組み立て工程が不要となるため、製造コストが削減されます。


デザインの自由度

射出成形の柔軟性により、複雑な形状や細かいディテールを持つインサート部品の設計が可能になります。


このように、インサート部品は、射出成形技術を基盤として、さまざまな産業で重要な役割を果たしています。

その応用範囲は、自動車、電子機器、医療機器など多岐にわたり、それぞれの用途で製品の性能向上に寄与しています。

また、射出成形技術と組み合わせることで、強度やデザイン性、コスト効率の向上を実現できる点も大きな魅力です。

インサート部品における金属部分と板金加工

インサート成形における金属部分

インサート成形において、インサート部品における金属部は重要な重要な役割を果たします。

なぜなら、インサート成形とは、金属部品などをプラスチックの中に埋め込んで一体化する成形方法だからです。

主には、板金加工や切削加工、鋳造、粉末冶金などによってインサート部品の基礎となる金属部分を作り出します。

板金加工の利点

なかでも、板金加工でインサート部品を作ることにはどんなメリットがあるのでしょうか。
以下では、そんな板金加工のメリットをご紹介いたします!


精密な形状の製作:

板金加工は、高度な精密性が要求される形状を製作する際に特に有効です。

例えば、ねじやシャフトのような部品を作成する際には、寸法の正確さが製品全体の性能に直結します。


強度の向上:

板金加工は、金属の強度を活かして耐久性の高い部品を製造するのに適しています。

これは、特に高応力がかかる用途で使用されるインサート部品にとって重要な要素です。


コスト効率:

板金加工は、材料の無駄を最小限に抑えることができるため、コスト効率の面でも優れています。

また、自動化された設備を用いることで、大量生産時のコストをさらに削減することが可能です。

金属部品の製作プロセス

板金加工技術には、以下のようなプロセスが含まれます:


切断:

金属を適切なサイズや形状に切り出すプロセス。


曲げ:

金属板を特定の角度や形状に曲げる工程。


プレス:

圧力をかけて金属を所定の形状に加工する方法。


パンチング:

穴あけや切り抜き加工を行う技術。


これらの技術を駆使することで、インサート部品の金属部分が製作され、射出成形に最適な形状が作られます。

射出成形と板金加工の統合

板金加工で製作された金属部品は、射出成形技術と統合されることで、最終的なインサート部品となります。

この統合プロセスでは、金属部品を成形用金型に配置し、その周囲をプラスチックやゴムで包み込む形で成形が行われます。

この技術は、強度や機能性を高めるだけでなく、異素材間の強固な接合を実現します。

板金加工の応用

板金加工は、金属板を切断、曲げ、溶接など様々な加工を組み合わせることで、複雑な形状の部品を製作できることが、射出成型において取り入れられている要因の一つです。


この特性は、機械部品製作やインサート成形以外の様々な分野で活用されています。


2023年に弊社が立ち上げた(焚き火台の)アウトドアブランド、【Holy Ground】でも、この技術を活用しています。

焚き火台の耐久性や高温への耐性、そして美しいデザイン性を実現しています。

例えば、板金加工による頑丈なフレーム構造と、細部までこだわったデザインは、過酷なアウトドア環境でも安心して使用できるよう設計されています。

リンク先のHOLY GROUND公式サイトでは、これらの製品の詳細情報を確認することができます。

高温環境で使用する際には、特別設計された耐熱金属部品が熱による変形や劣化を防ぎ、安定した使用を実現します。

例えば、焚き火台の金属フレームは耐久性の高い素材を用いており、熱を効率的に拡散することで安全性を向上させています。

アウトドアシーンで信頼できる製品をお探しの方にぜひお試しいただきたい一品です。


このように、板金加工は複雑な形状を再現できることから、
インサート部品の金属部分の製作に求められる、精密さ、強度、コスト効率を兼ね備えた優れた方法です。

射出成形、インサート部品が利用される業界

射出成形とインサート部品は、さまざまな業界で幅広く利用されており、その技術の特性は製品の品質向上やコスト削減に大きく貢献している。

本記事では、自動車産業、医療機器、家電製品・電子機器における活用例を詳しく解説します。

自動車産業

自動車産業では、強度と機能性が求められる部品に射出成形とインサート部品が多用されています。

例えば、エンジンカバーやダッシュボードの部品は、軽量化と耐久性が両立する樹脂製品として製造されています。

また、金属インサートを用いることで、ねじの固定部分や電気接点部分の強度が向上します。

これにより、安全性や長寿命化が実現されています。


さらに、射出成形の高い生産性を活用することで、部品の大量生産が効率よく行われ、自動車メーカーのコスト削減にも寄与しています。

医療機器


医療機器では、精密さと強度が求められる製品に射出成形とインサート部品が活躍しています。

例えば、注射器や手術用器具のハンドル部分には、滑り止めの樹脂と耐久性の高い金属インサートが組み合わされています。

また、医療用カテーテルやコネクターなど、精密さが要求される部品も射出成形技術で製造されており、均一な品質が確保されています。


この技術により、患者の安全性が向上すると同時に、医療機器メーカーは効率的な生産体制を維持できます。


家電製品・電子機器

家電製品や電子機器では、コスト効率と多機能性を兼ね備えた製品作りに射出成形とインサート部品が利用されています。

例えば、リモコンやスマートフォンの筐体には、耐衝撃性のある樹脂と高精度な金属インサートが組み合わされています。

また、プリンターやエアコンの内部機構にも射出成形品が活用されており、軽量化とコスト削減が実現されています。


これらの製品では、射出成形の自由度の高いデザイン性が発揮され、ユーザーのニーズに応じた多様な機能が搭載されています。


このように、射出成形とインサート部品の技術は、多岐にわたる業界で活用されており、それぞれの特性を最大限に活かすことで製品の品質や性能が向上しています。

自動車、医療、家電、といった分野において、これらの技術が果たす役割は非常に大きいです。

まとめ

この記事では、射出成形の特徴からインサート部品、さらに板金加工について詳しくご紹介しました。

また、これらの技術が活用される業界についても解説し、それぞれの利便性や重要性をご理解いただけたかと思います。


富士ゴム化成株式会社では、射出成形を用いた精密な製品の製造や、インサート部品の加工に対応可能です。

製品の開発や製造に関してお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
弊社の経験豊富な社員が、お客様のニーズに最適なソリューションを提案させていただきます。


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