ものづくりプレス
2025-03-27
水素化ニトリルゴム(HNBR)の化学的耐久性
ゴムと聞くと日常生活でよく使われる素材を思い浮かべるかもしれませんが、その中には、特別な性能を持つ「ニトリルゴム」や「水素化ニトリルゴム(HNBR)」といった種類もあります。
これらは、特に耐油性や耐熱性、さらに化学薬品への耐久性が求められる場面で活躍するプロフェッショナルなゴムです。
例えば、車のエンジン部品や工業用のシール材など、過酷な環境下でも安定した性能を発揮します。
また、水素化ニトリルゴムは、さらに進化した特性を持ち、温度変化や外部の影響に強いのが特徴です。
この記事では、ニトリルゴムの基本的な性能から、用途に応じた特性の違い、さらには選び方のポイントまで、分かりやすく解説していきます!
水素化ニトリルゴム(HBNR)とは
水素化ニトリルゴム(HNBR)は、ニトリルゴム(NBR)の特徴である耐油性を保ちながら、さらに耐熱性や耐候性を向上させたゴムです。
NBRのブタジエンに含まれる二重結合を水素化することで、H-NBRが作られます。
この水素化により、耐熱性や耐候性が高まり、過酷な環境下でも安定した性能を発揮します。
水素化ニトリルゴム(HNBR)では、耐油性を保つためにシアノ基をそのまま残し、主鎖の二重結合だけを水素化します。
加硫の方法は、NBRと同様に硫黄または有機過酸化物を使います。
ただし、水素化が95%を超えると、二重結合が少なくなるため、硫黄加硫は難しくなり、有機過酸化物加硫が主流になります。
水素化ニトリルゴム(HNBR)は、耐油性や耐燃料油性に優れ、さらに水素化率や配合を調整することで、さまざまな用途に対応できます。
主なメリットは、耐熱性や耐候性、耐摩耗性が向上することですが、耐寒性はNBRに比べて少し劣ります。
また、コストがNBRより高いものの、フッ素ゴムほどは高価ではありません。
ニトリルゴムの化学耐久性
ニトリルゴムは、分子構造によって非常に優れた耐油性を持つため、オイル周辺での使用に欠かせない素材です。
さらに、化学耐久性においても高い性能を発揮し、さまざまな化学薬品や溶剤にも強い耐性があります。
例えば、ニトリルゴムは工業用のガスケットやシール材として使用され、化学薬品に長時間さらされる環境でも劣化や変形が少ないという特徴を持っています。
このため、多くの製品が長期間にわたり安全に使用できることが保障されます。
このような化学的耐久性は、他のゴム素材では得られない大きな利点です。
他の素材との比較
他のゴム素材と比べたニトリルゴムの化学耐久性の違いについても触れておきましょう。
例えば、シリコーンゴムは耐熱性に優れていますが、油や溶剤に対する耐性はニトリルゴムに劣ります。
また、天然ゴムは弾力性があり加工しやすいものの、多くの化学薬品や油には弱いため、ニトリルゴムの方が特に油や酸、アルカリに強いことが分かります。
このため、ニトリルゴムはこれらに対する耐性が求められる用途で選ばれることが多いです。
化学耐久性を持つ薬品の種類
ニトリルゴムが特に強い化学耐久性を持つ薬品には、石油系オイルやさまざまな化学薬品があります。
自動車の部品や工業用のシーリングに広く使用されており、その耐油性が特に重要な役割を果たしています。
この優れた特性によって、ニトリルゴムは産業界で欠かせない素材となっています。
また、ニトリルゴムが強い耐性を示す薬品の中には、エチルアクリル酸やブチルアクリル酸など、特有の薬品もあります。
これらに対する耐性は、アクリロニトリルの含有量によって変化しますが、それに応じた最適な配合をすることで、幅広い化学薬品に対応できる素材となっています。
化学耐久性の秘密
ニトリルゴムが特定の薬品に対して高い耐性を持つ理由は、構造にあります。
アクリロニトリルとブタジエンを主成分としており、その中に含まれるシアノ基が、油類に対して特に強い耐性を発揮します。
この構造の特性が、ニトリルゴムを様々な化学薬品に強く、信頼性の高い素材にしているのです。
まとめ
ニトリルゴムと水素化ニトリルゴム(HNBR)は、その優れた耐油性や化学的耐久性、耐熱性によって、さまざまな産業で欠かせない素材となっています。
それぞれの特性を理解し、用途に応じた適切な素材を選ぶことが、製品の性能向上や安全性の確保に繋がります。
今回ご紹介した特性や活用例を参考にして、ぜひゴム素材の選択に役立ててください。
現代の多様なニーズに応えるこれらのゴム素材は、これからも進化を続け、私たちの生活や産業を支え続けるでしょう。
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