ものづくりプレス

2025-05-06

アンチモン供給不足が引き起こす難燃性ポリカーボネートの価格高騰

最近、アンチモンの価格が急激に上がり、業界で大きな注目を集めています。

特に中国での供給不足が影響して、価格は13年ぶりの高値を更新しました。

この価格の値上がりは、2025年上半期まで続く可能性があると言われており、今後の市場動向に影響を与えると予測されています。

アンチモンは、軍事や航空宇宙、難燃剤など多くの分野で重要な役割を果たしている「未来産業の核心鉱物」とも呼ばれる素材です。

そのため、供給不足が続く中で、需要の高まりが価格を押し上げる要因となっています。


本記事では、アンチモンの価格高騰の背景やその影響、さらに難燃性ポリカーボネートの特徴と関連について詳しくご紹介します。

アンチモン

難燃性ポリカーボネートとは


難燃性ポリカーボネートとは、燃えにくくするための特別な添加剤が含まれたポリカーボネート樹脂のことを指します。

ポリカーボネートは、その高い耐衝撃性や透明性から、さまざまな製品に利用されるプラスチック材料です。

しかし、通常のポリカーボネートは燃えやすい性質を持っているため、難燃剤を添加して燃えにくくすることで、より安全に使用できるようにしています。

難燃性ポリカーボネートの特徴

ポリカーボネートの特徴は、何と言ってもその強さです。

特に、透明なプラスチックの中では最高クラスの衝撃強度を誇ります。

その強さは驚くべきもので、同じ厚さのガラスの約200倍、アクリルの約40倍、硬質塩化ビニルの約20倍です。

これだけの強度があれば、防弾材や軍事用品に使われることも納得。

さらに、安全面でも活躍します。防災や盗難防止にもぴったりです。


そして、強いだけじゃなく、加工もしやすいのが特徴です。

ポリカは塩ビよりも柔らかく、軽いのでノコギリで簡単に切れますし、穴あけもラクラク。

使い勝手が良いのが嬉しいポイントです。


また、透明度も素晴らしく、ポリカプレート5mm厚だと光を85%以上通すので、ガラスやアクリルとほぼ同じくらいの透明度を誇ります。


ポリカは強度だけでなく、安全性もバッチリ。

航空機や幼稚園の窓など、特に安全が大切な場所でもしっかり活躍してくれます。


耐久性も抜群で、火元から離れると自然に火が消える自己消火性があり、難燃性もあります。

さらに、-40℃から+120℃まで耐えられるので、厳しい寒さや暑さでも問題なし。

長時間屋外に置いても、日光や風雨で劣化することが少ないです。

アンチモンの価格高騰

近年、アンチモンの価格が急騰し、業界で大きな注目を集めています。

特に、中国での供給不足が影響し、価格は13年ぶりに過去最高値を更新しました。

この価格上昇は、2025年上半期まで続く可能性があると予測されています。

アンチモンの重要性

アンチモンは「未来産業の核心鉱物」とも呼ばれ、軍事や航空宇宙、難燃剤などさまざまな分野で重要な役割を果たしています。

しかし、供給が限られているため、価格が上昇しています。

特に、オーストラリアやロシアからの輸入が減少し、中国国内のアンチモン鉱山も事故や生産調整で減産しているため、価格はさらに上がりました。

中国の影響

また、中国の太陽光産業の成長もアンチモンの需要を押し上げており、在庫は史上最低水準に達しています。

加えて、中国政府の環境規制で一部の工場が生産を停止したことも影響を与えています。


この供給不足を解決するのは簡単ではなく、専門家たちは今後も価格が高止まりする可能性があると予測しています。

まとめ

アンチモンの価格が値上がりを続ける中で、今後の供給状況や市場動向に注視することが重要です。

難燃性ポリカーボネートのように、アンチモンを利用する製品にも影響が出る可能性があります。

企業や業界関係者にとっては、原材料の確保やコスト管理がますます求められる中、柔軟に対応することが必要です。

今後も価格の変動が続く中で、どのようにして安定供給を図るかがカギとなるでしょう。