ものづくりプレス

2025-05-21

高温・高圧環境におけるオイルシールの性能維持とトラブル対策

高温環境で作動する機械にとって、オイルシールは重要なパーツです。

特に、石油・ガス、化学処理、発電、航空宇宙などの分野では、オイルシールがしっかりと働くことで、漏れを防ぎ、機械の信頼性を保つことができます。

特に、高温対応のオイルシールは、極端な熱条件でも安定したシール効果を維持し、漏れを防ぐ重要な役割を果たします。

過酷な環境下では、オイルシールの耐熱性能が機器の信頼性や効率性に直結します。

しかし、材料の劣化や熱膨張、液体の蒸発など、さまざまな課題に対応するためには、適切な設計や素材の選定が必要です。


本記事では、高温環境でのオイルシールの選び方や高温対策、さらにトラブル対策について詳しく解説します。

スクリーンショット 2025-05-19 003528

高温環境でのオイルシールの選定ポイント

材料の劣化

高温になると、オイルシールのゴムや金属部分が劣化しやすくなります。

特にポリマーやエラストマーは、柔らかくなったり、脆くなったりして、シール効果が低下することがあります。


熱膨張と変形

温度が上がると、部品が膨張して形が変わることがあります。

これにより、シールがしっかり密着しなくなり、隙間からオイルが漏れる原因となるのです。


液体の蒸発と空運転

高温では、オイル自体が蒸発しやすくなり、シールが乾いてしまうことがあります。

これにより、摩擦が増え、オイルシールの摩耗が加速します。


コーキングと汚れの蓄積

高温で使われるオイルや燃料は、シール面に汚れや炭化物を蓄積しやすくなります。

これが原因で、オイルシールの性能が低下することもあります。

高温用オイルシールを選ぶ際のポイント

使う液体の特性を理解する

オイルや液体の化学成分や粘度、蒸発しやすさなどを確認し、それに適したオイルシールを選ぶことが大切です。


耐熱性の高い素材を選ぶ

シリコンカーバイドやタングステンカーバイドなどの耐熱性の高い材料は、高温でもしっかりとしたシール効果を保てます。

また、エラストマーの場合は、FKMやPTFEなどの耐熱性のある素材を選ぶと良いでしょう。


圧力への対応力を確認する

高温環境では圧力も高くなることが多いため、圧力に耐えられる設計のオイルシールを選ぶことが重要です。


シャフトの速度や動きに対応する設計

高速回転するシャフトでは摩擦熱が発生するため、熱を効率よく逃がす設計が求められます。

例えば、特殊な溝や表面加工を施したオイルシールを選ぶことで、熱放散効果を高めることができます。

トラブル対策としてのオイルシールの配置方法

バック・トゥ・バック配置

2つのオイルシールを背中合わせに配置し、冷却液を循環させることで、熱による劣化を防ぎます。


対面配置

オイルシール同士を向かい合わせに配置し、効率的な熱放散を実現します。


タンデム配置

2つのオイルシールを直列に設置し、間にバッファー液を入れることで、漏れのリスクを最小限に抑えます。

まとめ

いかがでしたか?

適切なオイルシールを選び、高温対策をしっかりと行うことで、機器の寿命を延ばし、メンテナンスコストを減らすことができます。

これによって、安定した運転ができ、エネルギーの無駄を減らして効率的に運用することができます。

過酷な環境でも安心して使い続けることが可能になり、さらに、定期的に状態をチェックしてメンテナンスを行うことで、思わぬ故障を防ぎ、生産性もアップします。

高温対応のオイルシールを使用することで、長期的にコストを削減し、持続可能な運用が可能になるのです。