ものづくりプレス
2025-05-22
オイルシールの摩耗メカニズムと寿命延長のための設計ポイント
オイルシールは、機械の回転軸とハウジングの間でオイルやグリースをしっかり密封する重要な部品です。
でも、オイルシールも使い方や環境によって摩耗が進んでしまうことがあります。
摩耗が進むと、シールが効果的に働かなくなり、オイル漏れなどのトラブルが発生することも。
そんな悩みを防ぐためには、摩耗対策をしっかりと行い、オイルシールの寿命を延ばす工夫が大切です。
適切な材質選びや潤滑の最適化、さらには定期的な点検など、ちょっとした工夫でオイルシールの寿命を大きく延ばすことができます。
この記事では、そんなオイルシールの長持ちさせるためのポイントをご紹介します。
オイルシールとは
オイルシールがどのように機能するか、疑問に思う方も多いと思います。
オイルシールは、軸とハウジングの間でオイルやグリースを密封するために使われますが、その原理や使い方には少し工夫が必要です。
オイルシールの原理
まず、オイルシールは回転する機械の部品で、特に「リップシール」と呼ばれる形状が一般的です。
リップシールは、軸とハウジングの間で「軽く触れる」ことで、オイルをしっかりと密封します。
密封の原理としては、オイルシールのリップ部分が軸に触れているだけで、オイルが漏れないようにする仕組みです。
ただし、リップを強く押しつけすぎると、摩耗が早く進み、シールが壊れてオイルが漏れてしまうので、軽く触れる程度にすることが重要です。
また、オイルシールのリップ部分は、オイルで潤滑されている必要があります。
乾いた状態で動かすと摩耗が進んでしまうので、組み込む前にリップ部分にオイルを塗ることが大切です。
これにより、リップと軸の間に油膜ができ、摩耗が少なくなります。
さらに、オイルシールの密封性は、流体の圧力が高くなると向上します。
リップが流体の圧力の高い方に向いているため、圧力がかかるとリップが軸に押し付けられ、より密封される仕組みです。
ただし、圧力があまりにも高すぎると、リップの摩耗が進んだり、軸に傷がつくこともあるので注意が必要です。
オイルシールは正しく使用すれば、非常に効果的にオイルやグリースを密封できますが、間違った使い方をすると漏れが発生してしまうので、しっかりと理解して使うことが大切です。
オイルシールの摩耗の原因
オイルシールが摩耗する原因にはいくつかのポイントがあります。
これらを知っておくことで、より長持ちさせるための対策が取れるようになりますよ。
摩擦による摩耗
オイルシールのリップ部分が回転軸と触れることで摩擦が起き、徐々に摩耗が進みます。
摩擦で熱がたまると、ゴムが硬くなり、シールの性能が落ちてしまいます。
異物の侵入
外から汚れやゴミがリップ部分に入ってしまうと、それが研磨剤のように作用して摩耗を加速させます。
異物が入りにくいように注意が必要です。
潤滑不足
リップ部分がうまく潤滑されていないと、乾いた摩擦が発生して摩耗が進んでしまいます。
潤滑がしっかりされているかチェックしましょう。
高温・高圧環境
高温や高圧の状態ではゴムが劣化しやすく、摩耗が早く進んでしまいます。
こうした環境下では、耐熱性や耐圧性に優れた材質を選ぶことが重要です。
オイルシールの寿命延長方法
オイルシールの寿命を長くするためには、いくつかの工夫がとても効果的です。
以下のポイントを押さえておきましょう。
適切な材質を選ぶ
オイルシールを使う環境に合わせて、耐熱性や耐摩耗性に優れた材質(たとえば、フッ素ゴムやシリコーンゴムなど)を選ぶことが大切です。
潤滑を最適化する
リップ部分に適切な潤滑剤を使うことで、摩擦や摩耗を減らせます。
組み立ての際に潤滑油を塗ると、初期摩耗を防ぐことができますよ。
異物の侵入を防ぐ設計
ダストリップ付きのオイルシールを使うと、外から汚れや異物が入りにくくなり、シールを守ります。
設計を最適化する
リップの形状や接触圧を工夫して、摩耗対策をしましょう。
また、軸の表面を滑らかに仕上げることで、摩耗をさらに減らせます。
定期的な点検と交換
オイルシールの状態を定期的にチェックし、摩耗が進んでいる場合は早めに交換することが大事です。
これらの工夫をすると、オイルシールの寿命を大きく延ばすことができます。
まとめ
いかがでしたか?
オイルシールの寿命を延ばすためには、日頃の摩耗対策が欠かせません。
適切な材質の選定や潤滑の最適化、異物の侵入防止など、ちょっとした工夫で長持ちさせることができます。
定期的な点検や交換も重要なポイントです。
これらの対策を実施することで、オイルシールが本来の役割を果たし、機械の安定性や効率を維持することができます。
摩耗や劣化を防ぎ、長く快適に使い続けるための参考にしていただければと思います。
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