ものづくりプレス

2025-05-24

オイルシールの最新技術動向|低フリクション・長寿命化の最前線

自動車の低燃費化が進む中、エンジンや機械部品の摩擦を減らす技術がますます重要になっています。

特にオイルシールにおいては、低フリクション化と長寿命化が求められ、さまざまな進化が遂げられています。

例えば、NOKはシールの圧力調整や表面処理技術を駆使し、摩擦を減らすことで燃費や効率向上を実現しています。

また、Inpro/Seal社のベアリングアイソレータは、リップシールの弱点を克服し、長期的なメンテナンスフリーを実現。

これらの技術は、エンジンの効率化だけでなく、エネルギー節約にも貢献しています。


今回は、低フリクション化と長寿命化を目指した最新のオイルシール技術をご紹介します。

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NOK 低フリクションオイルシール

自動車の低燃費化が進んでいる今、シール部品にも摩擦を減らす工夫が求められています。

NOKは、シールの性能をしっかりと保ちながら、摩擦を減らすための技術を4つの分野で開発しました。

それは、形状設計、表面処理、材料の選定、そしてグリース技術です。


オイルシールのリップ部分は、シールするパーツと接触して密閉しますが、ここでの圧力が高すぎると摩擦が大きくなりすぎてしまいます。

シールがしっかりしていると感じるかもしれませんが、現代のエンジンでは、摩擦を減らして燃費や効率を向上させることが求められています。

つまり、オイルシールの抵抗もなるべく軽減することが重要なのです。


例えば、オイルシールの場合、電動車やモジュール化の進展で使われる場所は減るかもしれませんが、その代わりに部品はさらに小型化、軽量化され、軸も細くなり回転数も増えていきます。

高回転時に摩擦が大きいと熱を持ってしまうため、熱管理が重要になります。

さらに、車のシェアリングが広がれば、車の使用頻度や使用時間も増え、シールの耐久性がさらに求められるようになります。

そこで必要なのは、低摩擦で高性能なオイルシールなのです。


そこで、レミューズはリップ部の圧力を適正に調整する設計を行いました。

この改良により、従来の製品よりも30~45%のトルク(抵抗)を減らすことができたそうです。

また、摩擦が発生する部分の表面を最適化し、摩擦係数を下げることで、さらに15%のトルク低減効果を実現しました。

Inpro/Seal社 ベアリングアイソレータ

Inpro/Seal社のベアリングアイソレータは、リップシールの弱点を解決する優れたシール技術です。

1977年から同社が進化させてきたこの製品は、石油精製プラントや化学工場、製紙工場などさまざまな産業で活躍しており、長期間メンテナンスフリーで高いシール性を提供します。

また、ベアリングのL10寿命を達成することができます。


このベアリングアイソレータは、モーターやポンプ、ギアボックス、蒸気タービン、プランマブロックなど、回転する機械のシールに使用されます。

あらゆる業界で長期間安定した性能を発揮し、メンテナンスの手間を省きます。


ベアリングアイソレータの強み

高いシール性 各機械の仕様やサイズに合わせて最適に設計されるため、IP66相当の高いシール性能を誇ります。

これにより、潤滑油の漏れや異物の浸入を防ぎます。


摩擦ゼロ

非接触タイプなので、摩擦や摩耗がなく、長寿命でメンテナンスフリーです。

トルク損失や電力損失も減らすことができ、省エネルギーにも貢献します。


低速・停止時でも安心

一般的なラビリンスシールでは問題になる低速時や停止時のシール性を、VBX®リングが解決。

湿気の侵入を防ぎ、高速(60m/s程度)まで対応できます。

まとめ

いかがでしたか?

オイルシールの低フリクション化と長寿命化は、今後ますます重要な技術として注目されています。

これらの技術革新によって、エンジンの効率向上だけでなく、省エネルギーやメンテナンスの手間を大幅に削減することが可能になります。

さまざまな企業の取り組みによって、今後の自動車や産業機器はさらに進化し、より環境に優しく、コスト効率の良い運用が実現されるでしょう。

今後もこの分野の技術革新から目が離せません。