ものづくりプレス

2026-09-06

部品の廃盤による設備停止リスク|棚卸しの優先順位3基準

止まってから探し始めると、選択肢はほとんど残りません。在庫を当たり、見つからず、代替を探し、合わずに戻る。その間、設備は動きません。

この記事では、部品の廃盤による設備停止のリスクを、止まる前に把握して順番をつけるための見方を整理します。

作成者 橋本(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年9月6日 最終更新日 2026年9月6日 本記事は2026年8月時点の情報です 読了時間 約8分

部品の廃盤は、どこから設備停止につながりますか?

在庫が尽きた瞬間ではなく、その手前で選択肢が消えることから始まります。探す時間、代替を試す時間、作り直しを検討する時間。いずれも在庫が残っているうちにしか使えません。

部品の廃盤から設備停止までの間に、探す・試す・作り直すという段階があることを示す図 図1 在庫が尽きるまでに使える時間 STEP 1 廃盤の連絡 在庫の残数を 数える STEP 2 探す 市場在庫と 代替品を当たる STEP 3 試す 代替品を実機で 確かめる STEP 4 作り直す 現物から再現 して量産 この4段階を在庫が尽きる前に通せるかどうかが、止まるかどうかを分けます。

「まだ在庫があります」は期限つきの猶予

在庫があるという回答は、残数を自社の使用量で割った月数のことです。尽きる時期が分かれば、そこから逆算して何にどれだけ時間を割けるかが決まります。数字にしないままだと、探す作業だけを繰り返して時間を使い切ることになります。

1点ずつ対応すると、同じ調査を何度も繰り返す

同じ時期に設計された設備では、他の部品も同じ状況にあることが少なくありません。部品番号・取り付け位置・年間使用量・在庫数の4列で表にしておくと、どれから手を付けるかが数字で決まります。調達先そのものが変わる場合の進め方は取引先の廃業・倒産でゴム部品が調達できない時の進め方にまとめています。

探す時間は、思っているより長くかかる

市場在庫を当たり、代替品の候補を集め、実機で試して合うかを見る。この一連は、担当者の片手間では進みません。しかも代替品が合わなかった場合、そこまでの時間はそのまま失われます。在庫が薄い部品ほど、探す作業と並行して「作り直せるかどうか」も確かめておくと、外れたときの戻り幅が小さくなります。

どの部品が止まりやすいのですか?

発注頻度が低く、形状が特殊で、設備側の寿命が長いものです。使用量が少ない配合は材料メーカー側で整理され、動いていない金型は保管の見直し対象になります。

廃盤で設備停止につながりやすい部品の条件と、そうでない部品の条件を対比した図 図2 止まりやすい部品と、止まりにくい部品 止まりやすい 止まりにくい 年に数回しか発注しない 特殊な配合を指定している 古い設備専用の形状 同型機が社内に1台だけ 規格品に近い形状 複数の供給元がある 年間の使用量がまとまっている 代替の設定が市販にある 自社の部品がどちら寄りかで、棚卸しの優先順位が決まります。

金型の所在確認は、先に知るための数少ない手がかり

当社にも2026年に入ってから、長期間使用していない金型の調査依頼が増えています。取引の適正化に関する動きを背景に、保管している金型を棚卸しする企業が増えているためと考えられます。金型がどこにあり、まだ使える状態かを確認しておくと、供給が止まる前に手を打てる可能性が高くなります。

出典:当社が2026年8月時点で受けているご相談の傾向(自社集計)。件数は公表していないため、傾向としてのみ記載しています。

自社の部品は、止まったときの影響が大きいですか?

当てはまる項目が多いほど、供給が止まったときに動きにくくなる状態です。部品ごとにチェックして、当てはまりが多いものから順に手を付けてください。

設備停止リスクの棚卸しチェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。個人情報の入力はありません。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個止まったときの影響は限定的です。年に一度、在庫の残りを確認しておけば十分です。
2〜3個止まると動きにくい部類です。現品の確保と使用条件の記録を先に進めてください。
4〜6個影響が大きい部類です。在庫が尽きる前に、作り直しの可否まで確認しておくことをおすすめします。

優先順位は、どのようにつければよいですか?

在庫が尽きるまでの月数と、止まったときの影響の大きさで並べます。両方が厳しいものから順に、現品の確保と使用条件の記録を先に済ませてください。

在庫が尽きるまでの月数によって、着手すべき時期が変わることを示す図 図3 在庫が尽きるまでの月数で決める、着手の順番 3か月未満 12か月以上 3か月未満は探すのと並行して作り直しの検討へ。12か月以上あれば設備単位の棚卸しから始める。 月数は「在庫数 ÷ 1か月あたりの使用数」で求めた値です。区切りは当社の整理による目安です。
残っている期間 状況の目安 先にやること
3か月未満猶予がほとんどない現品を確保し、並行して仕様の見直しも検討する
3〜6か月着手の時期現品調査と材料の確認を始める
6〜12か月準備できる期間がある作り直しの可否と数量計画をまとめる
12か月以上余裕がある設備単位の棚卸しを先に行う

棚卸しは、部品単位ではなく設備単位で始める

部品単位で数え始めると、どこまで数えたか分からなくなります。設備を1台選び、その中で使っているゴム・樹脂部品をすべて書き出すほうが早く終わります。1台ぶんが終われば、同型機は同じリストが使えます。書き出す列は、部品番号・取り付け位置・年間使用量・在庫数の4つで足ります。

作り直しに切り替えるとき、何が必要ですか?

現品、使用条件、必要数量の3つです。図面がなくても、現品があれば検討を進められます。当社ではこの現物調査から量産までを5つの段階に分けています。

01お問い合わせ・ヒアリング 困っている状況をうかがいます。現物があれば図面がなくてもご相談いただけます

02現物調査・材料分析 お預かりした部品を調べ、素材の特性や劣化の状況を確認します

03設計・図面作成 現物のデータをもとに、あらためて図面を作成します

04試作・評価 3Dプリントなどを使って試作品を作り、性能を確認します

05量産・納品 評価で問題がなければ量産に移ります

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

図面が残っていなくても、着手は遅らせない

図面を探すことに時間を使って、在庫を減らしてしまうケースがあります。現品があれば、図面がなくても検討は始められます。探すのは並行して続けるとして、まず現品を確保し、使用条件を書き出してください。図面が後から見つかれば、その時点で精度が上がるだけです。

仕入先が1社しかない部品は、それ自体がリスク

同じ部品を扱える先が1社しかない状態は、その1社の都合で供給が止まることを意味します。価格の妥当性も比べられません。止まってから2社目を探すと条件をそろえる時間がないため、動いているうちに一度、別の先でも作れるかを確かめておくと選択肢が残ります。当社は相見積もりを歓迎しており、条件の整理からのご相談も承っています。

記録が残っていれば、次の判断が速くなる

いつ交換したか、どのくらい持ったか、何個使ったか。この3つが残っていれば、在庫が尽きる時期も、次に手を打つ時期も計算できます。記録がないと、毎回ゼロから状況を集め直すことになります。棚卸しのついでに、交換日と使用数を記録する場所だけ決めておいてください。記録は表計算ソフトの1シートで足ります。凝った仕組みより、続くことのほうが大切です。

部品の廃盤リスクについて、よくいただくご質問は?

棚卸しの順番、メーカーへの確認、金型の扱いについてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

どの部品から棚卸しすればよいですか?
発注頻度が低く、在庫が薄く、設備をまだ長く使う予定のものからです。本記事のチェックで当てはまりが多い部品ほど、止まったときの影響が大きくなります。

メーカーに聞けば、廃盤かどうかは分かりますか?
現時点の在庫は分かりますが、いつまで供給されるかまでは分からないことが多くあります。「まだ在庫があります」は期限つきの猶予として扱ってください。

金型の所在を確認する意味はありますか?
金型が残っていれば、供給が止まっても同じ形で作れる可能性が残ります。当社にも2026年に入ってから、長期間使用していない金型の調査依頼が増えています。

棚卸しの結果、対象が多すぎて手が回りません。
すべてを同時に進める必要はありません。在庫が尽きる時期が早いものから順に、現品の確保と使用条件の記録だけ先に進めてください。

相談は何がそろっていれば受けてもらえますか?
現品、使用条件、必要数量の3つがあれば始められます。すべてが決まっていない状態でも、内容に応じてご提案します。

いま何から始めればよいですか?

在庫の残りが3か月を切っている部品を1つ選び、現品を確保して使用条件を書き出してください。そこまで進んでいれば、相談の場で材料と工法の話にすぐ入れます。

材料の選び方と寸法表を先に確認する

SF-JOINT総合カタログ・施工要領・Oリング寸法表などの資料をご用意しています。会社名とご連絡先のご入力でダウンロードいただけます。

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