ものづくりプレス

2024-03-13

工業用ゴムの様々な使用用途と、最近の動向


工業用ゴムとは、工作機械や自動車部品で使用されるゴム製品の総称です。
しかし、一言で工業用ゴムといっても多様な性質を持った素材が存在しています。
例えば工業用ゴムの中でも天然ゴムと合成ゴムの2種類に分けられ、さらにその中でも複数のゴムに分かれます。

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したがって、工業用ゴムは様々な用途で使用することができ、分野にとらわれずに活躍している素材です。
本日は、そんな工業用ゴムの用途とこれからの展望についてご紹介します!


工業用ゴム:タイヤ

■ゴム業界の動向

工業用ゴムの用途に入る前に、ゴム業界の最近の情勢に関してご説明させていただきます。


一般社団法人日本ゴム工業会によると、2023年のゴムの出荷額の52%以上を自動車タイヤが占めました。

したがって、ゴム産業の売り上げは、タイヤ製品を消費する自動車メーカーの売り上げに依存していると言うことが出来ます。


この関係を示す例として、2020年のコロナパンデミックが挙げられます。当時、自動車産業は新型コロナウィルスの影響により関連工場の稼働停止や原材料費・輸送費の高騰に見舞われました。結果、国内新車販売台数は前年比10%以上低下し、それのあおりを受ける形でゴム製品の国内出荷額は2019年から15%以上低下しました。


このような依存度の高い状態を避けるため、工業用ゴムメーカーではより広い分野への進出などをねらい、多角的な製品開発を行う動きが活発化しています。

■工業用ゴムが使用されている主な業界と、その用途

ここでは、そんな工業用ゴム製品が活用されている業界とその用途についてご説明させていただきます。


▽自動車業界

・タイヤ

・ゴムホース

・ワイパーブレード

・防振ゴム

など


▽食品業界

・自動車製造で使用されていた防振ゴム

・衛生面に優れたベルトコンベア

など


▽医療

・ゴム手袋(ニトリル手袋)

・栄養チューブなどのゴムチューブ

・ゴム栓

など


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▽建設

・工事

・給水管や配水管のパッキン

・ジョイント

・防水シート

など


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■今後のゴム業界

現在、ゴム業界では高品質な製品の開発と、環境への配慮が重要になってきています。

前者に関しては、

国内におけるタイヤ産業の市場の縮小や、新興国家の台頭などが要因として挙げられます。そのため今後の工業用ゴムメーカーは、より付加価値のある製品を様々な分野に展開していくことが求められていくでしょう。


環境への配慮に関して、

現在、日本では天然ゴムのほとんどを東南アジアやアフリカなどからの輸入に頼っています。しかし、今までは輸入したゴムがどんな農家からどんな工程を経て製造されたものかを把握する仕組みがありませんでした。そのため工業用ゴムメーカーは、輸入した天然ゴムの製造過程で環境への悪影響や人権侵害があっても検知できない課題がありました。こうした背景から、近年ではサプライチェーンを可視化するような取り組みが始まっています。


ゴムはその多様性から、様々な分野で活用することができ、その範囲はこれからも広がっていくでしょう。

工業用ゴム製品を選ぶ上では、品質や、SDGsに配慮できているかを見極めることが重要だといえます。

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