ものづくりプレス

2026-09-03

廃盤パッキンの交換品の探し方|型番なしで絞る4つの手がかり

「似ているのに、入れると漏れる」。廃盤になったパッキンを探すとき、いちばん起きやすいのがこれです。

型番が廃止されても、部品の中身から探せば候補は絞り込めます。この記事では、交換品にたどり着くまでに確認する4つの手がかりと、市販品で代用するか現物から作り直すかの分かれ目を整理します。

作成者 久保(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年9月3日 最終更新日 2026年9月3日 本記事は2026年8月時点の情報です 読了時間 約8分

廃盤になったパッキンは、何を手がかりに探せばよいですか?

手がかりは型番ではなく、寸法・材質・使用条件・数量の4つです。この4項目がそろえば、同等の機能を持つ交換品にたどり着けます。どれかが欠けたまま探すと、寸法は合うのに早期に劣化するという失敗が起こります。

パッキンの交換品を型番から探す方法と、寸法・材質・使用条件から探す方法を対比した図 図1 型番から探す場合と、中身から探す場合 中身から探す 型番から探す 寸法:内径・外径・厚み・溝 材質:温度・接触するもの・圧力・時間 数量:今回必要な数と年間見込み 廃盤後もたどり着ける 在庫が残っている間だけ有効 供給元が変わると配合が変わることがある 同じ物性とはかぎらない 尽きたら手がかりが消える 型番は入口にすぎません。中身から探す形に切り替えると、次の廃盤にも対応できます。

現品は洗わず、外した状態のまま保管する

摩耗した現品でも、外形と断面の形が読み取れれば手がかりになります。洗浄や整形をせずに保管してください。表面の状態そのものが、接触していたものや温度を推定する材料になるためです。シール部品の名前と機能の関係はパッキン・Oリング・オイルシール・ガスケットを機能で選ぶ実務ガイドにまとめています。

出典:富士ゴム化成「お問い合わせ」ページ掲載のご案内(2026年8月確認)。ご相談時は図面・仕様や用途・必要数量・材料や材質をご準備いただくようお願いしています。

寸法はどこを測れば、交換品を特定できますか?

内径・外径・厚み(線径)の3点に加えて、取り付け溝の寸法を測ってください。パッキンは単体で密封しているのではなく、溝との組み合わせで機能するためです。

パッキンの現品から寸法を取る手順を、外形から硬度まで4段階で示す図 図2 現品から寸法を取る順番 STEP 1 外形寸法 内径・外径・厚み まず全体を取る STEP 2 断面形状 リップの有無と向き 面取りの形 STEP 3 取り付け溝 深さと幅 部品を外した状態で STEP 4 硬度 跡が残る材料もある ため最後に測る 現品は1個しかないことが多く、測り直しがきかない前提で順番を決めます。

同じ設備の他のシール部品も、まとめて洗い出す

ひとつのパッキンが廃盤になった設備では、同じ時期に設計された他の部品も同じ状況にあることが少なくありません。1点ずつ対応していると、同じ調査を何度も繰り返すことになります。部品番号・取り付け位置・年間使用量・在庫数の4列で表にしておくと、どれから手を付けるかが数字で決まります。

取り付け溝は、部品を外したときにしか測れない

部品が入ったままでは溝の実測ができず、あとから設備を止めて測り直すことになります。廃盤の連絡を受けた時点で設備が動いているなら、次の停止のタイミングで一緒に測っておくのが現実的です。溝の深さと幅は、密封の状態を左右する情報になります。

測る場所 押さえるポイント 使用後に変わりやすいか
内径軸やシャフトに接する側摩耗で広がる
外径ハウジング側膨潤していると大きく出る
厚み(線径)圧縮された状態が続くと薄くなる変わりやすい
取り付け溝深さと幅基本的に変わらない
断面形状リップの有無や向き摩耗で丸くなる

材質はどうやって見分ければよいですか?

見た目だけでは確定できません。温度、接触するもの、圧力、使用時間の4条件から候補を絞り、硬度や表面状態で裏づけていきます。この4条件が材質選定でもっとも効く情報です。

略号 名称 特徴
NBRニトリルゴム最も一般的な材料。耐油性や耐摩耗性が良い反面、耐候性は良くない
HNBR水素化ニトリルゴムNBRの耐候性や耐熱性を改良したグレード。耐寒性やコスト面ではNBRに劣る
CRクロロプレンゴム機械的強度や耐候性、難燃性に優れ、自己消化性のあるバランスの良いゴム
FKMフッ素ゴム耐熱性・耐油性・耐薬品性・耐オゾン性に優れる。耐寒性が低く、有機酸・ケトン・エステル・アミン系に耐性がない
VMQシリコーンゴム優れた耐熱性・耐オゾン性・耐寒性を持ち、生理不活性でもある

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

出典:富士ゴム化成「ゴム・プラスチックとは」主要合成ゴムの特性(2026年8月確認)。実際の使用可否は配合と使用条件によって変わります。

自社の設備のパッキンは、どこまで調べれば足りますか?

当てはまる項目が多いほど、交換品の特定に必要な情報が欠けている状態です。下のチェックで足りない項目が見えたら、その部分から手を付けてください。

交換品を探す前の情報チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。個人情報の入力はありません。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個交換品を特定できる情報がそろっています。寸法と材質を伝えれば見積りに進めます。
2〜3個材質か寸法のどちらかが不足しています。現品の確保と溝の実測から始めてください。
4〜6個情報がそろっていない状態です。まず設備を止めるタイミングで現品と溝を測ることをおすすめします。

硬度は現品と同じ数字にすればよいのですか?

同じにするとはかぎりません。使用中に硬くなる材料も軟らかくなる材料もあるためです。測った値をそのまま指定せず、溝寸法と圧縮の条件に照らして決め直すほうが確実です。

硬度が軟らかすぎても硬すぎても密封に不具合が出ることを、適正域の幅として示す図 図3 硬度は「元と同じ」ではなく、溝と条件に合う範囲で決める 軟らかすぎ 硬すぎ 軟らかすぎると溝からはみ出し、硬すぎると密着しません。どちらも「寸法は合うのに漏れる」症状になります。 適正域は溝寸法と圧縮率、使用条件によって変わります。品物ごとに決めていく値です。

硬度と圧縮率の関係はゴムの硬さ(JIS硬度)とはにまとめています。現品の硬度を測る前に目を通しておくと、測った数字の読み方が変わります。漏れがすでに起きている場合はシール不良のトラブルシュートから原因を切り分けてください。

市販品で代用するか、作り直すかはどこで分かれますか?

分かれ目は寸法の許容幅と数量です。規格品に近い形状で寸法に余裕があるなら市販品で足ります。特殊な断面形状や、数量が少なくて既製品の設定がない場合は、現物から作り直すほうが早く収まります。

もし取り付け溝を変更できるなら、規格品に合わせて溝側を直すという選択肢もあります。設備を更新する予定があるなら、この方法が費用を抑えられる場合があります。溝を触れないなら、部品側を現物に合わせて作ることになります。当社では廃盤部品の再現として、現品からの再現を承っています。

数量が少ないほど、金型を作らない方法が効く

数量が出ない部品では、金型の費用をどう扱うかが判断を左右します。当社の切削加工はゴム板から削り出す方法で、金型を作らずに部品を用意できます。圧力をかけて成形したものと比べて材料の選択肢が広がる点も、少量の場合には利点になります。ただし工具が届かない内側の形状は削れないため、そこは3Dプリントで形状を確認してから量産方法を決めます。

廃盤パッキンの交換について、よくいただくご質問は?

型番が分からない場合の対応、使用済み現品からの採寸、硬度の決め方についてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

型番が分からなくても探せますか?
寸法・材質・使用条件・数量の4つがそろえば、型番がなくても候補は絞り込めます。現品が残っていれば、そこから寸法と材質の手がかりを読み取ります。

使用済みの現品しかありませんが、寸法は取れますか?
取れます。ただし圧縮された状態が続けば厚みは減り、液体を吸っていれば外径は大きくなっています。測った値は「使用後の値」として扱い、取り付け溝の寸法とあわせて元の仕様を組み立てます。

硬度は現品と同じにすればよいですか?
同じにするとは限りません。使用中に硬くなる材料も軟らかくなる材料もあるためです。測った値をそのまま指定するのではなく、溝寸法と圧縮の条件に照らして決め直します。

金属と一体になったパッキンでも対応できますか?
ゴム製品ではコンプレッション成形や焼付成形、樹脂製品ではインサート成形を得意としています。金属部品と一体の構造でも、まずは現品を確認させてください。

1個からでも作ってもらえますか?
多品種少量生産を得意としており、1点からの試作のご相談も承っています。継続して使う部品であれば、最初から量産を見据えた材料選定をしておくと後戻りがありません。

交換品を探し始める前に、何を準備すればよいですか?

現品と、使用条件を書き出したメモの2つです。寸法は現物調査で確認できますが、温度・接触するもの・圧力・使用時間は使っている側にしか分かりません。

材料の選び方と寸法表を先に確認する

SF-JOINT総合カタログ・施工要領・Oリング寸法表などの資料をご用意しています。会社名とご連絡先のご入力でダウンロードいただけます。

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